最近、ますます拡大の一途を辿るVR市場。国内外から見ても、その規模と成長性には目を見張るものがあります。この記事では、XR市場の規模や成長してきた理由、実用例を紹介していきます。XRをビジネスに活用したいと考える人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
XRはVR・AR・MRなどの先端技術の総称
「VRは聞いたことあるけど、XRは初めて聞く」という人も少なからずいるでしょう。
「XR」とは、VR・AR・MRなどの先端技術の総称です。この「X」には、さまざまな文字が入ることを意味しています。XRが今以上に普及することで、今までにはなかった体験やサービスが生まれ、想像もつかない時代がやってくると考えられるでしょう。
過去には成長が失速した時期もあったXR市場
株式会社KDDI総合研究所のレポートによると、2016年にVRヘッドセットが相次いで発売されたときは「VR元年」と呼ばれるほどの賑わいをみせていたそうです。しかし、翌年には失速し、2018年には失敗との見方が強かったという報告が出ています。
実は、XR市場は少なくとも過去に2回、失速した背景があったのです。失速した原因は、映像のクオリティが低かったことや、楽しめるコンテンツが少なく物珍しさが勝る状況だったことなどが理由として挙げられます。
国内外から見たXR市場の規模と成長性
XR市場は今も拡大を続けており、日本の市場規模は2025年には1兆円規模へと拡大するといわれています。また、世界規模でみた場合も明らかな成長曲線を描いており、ますます目が離せない状況です。
ここでは、国内外のXR市場規模がどのように成長していくのか、グラフを用いて紹介していきます。
国内では2025年に1兆円規模と予想
矢野経済研究所が2020年1月に出した調査結果によると、2025年には日本のXR市場が、売上高ベースで1兆円規模へと成長すると予測されています。
(引用:矢野経済研究所 国内XR(VR / AR / MR)360°動画市場規模予測)
2019年には3,951億円だった市場規模見込みが、2025年には1兆1,952億円へと拡大。成長率は約3倍以上の右肩上がり予測となっています。
世界規模では2022年に341億ドルを超える?
まずはこちらのグラフをご覧下さい。
アメリカの市場調査会社SuperDataによると、世界のXR市場規模は2022年に341億ドルを超えるものと予測されています。
その内訳は「VR」が163億ドル、「AR」が96億ドル、「AR・MR(ヘッドマウント)」が82億円となっており、全体の約50%近くはVRが占めています。
ここには載っていませんが、「SR(Substitutional Reality)」と呼ばれる技術も登場しました。SRは「代替現実」と呼ばれ、簡単にいえば過去の出来事を疑似体験できるような技術です。
これらの既存の技術をかけ合わせることで、誰も想像できないような成長を遂げる可能性もあるでしょう。
出典:世界 XR市場 市場規模予測[領域別](億ドル, 2018-2024)/StatDB
XR市場が拡大してきた3つの理由
2019年頃から、XR市場は急速に成長をしてきました。しかし、一度は失速したにもかかわらず、なぜここまで大きくなってきているのでしょうか。その理由には、5Gの普及や活用方法が増えたこと、新たなサービスへの期待感などが考えられます。
ここでは、市場規模が拡大してきた理由を詳しくみていきましょう。
理由1. 5Gの普及
XR市場が拡大してきた理由として、まず「5Gの普及」が挙げられます。これまで実用化が難しいとされてきたVR/ARのさまざまなアプリケーションが、5Gの普及にともなって実現できるようになってきたのです。
例えば、データ容量の大きいVR動画が、時と場所を選ばず快適に見られるようになったことが挙げられます。また、まるで現地で見ているかのような臨場感が味わえる、VRヘッドセットを使ったスポーツ観戦も、既に試験的に行われています。
このように5Gが普及したことで、実用化が難しかったサービスも実現可能になり、結果的にVR市場の拡大へと繋がったのです。
理由2. 生活やビジネスへの活用
XR市場が拡大した2つ目の理由は、普段の生活やビジネスにXRが有効活用され始めてきたことが挙げられます。
例えば、不動産の内覧にVRが使われることで、現地へ行かなくても部屋の中を見渡すことができるようになりました。そのため、部屋探しの負担が大幅に軽減。その他にも、バーチャル空間にオフィスを構える「VRオフィス」と呼ばれる新たな働き方も注目され始めています。
これまでゲームや動画で見かけることが多かったVRなどの技術が、より一層身近な存在として活用されてきたことも、XR市場が伸びてきた理由の1つです。
理由3. 新たな巨大プラットフォームへの期待
WebやSNSに続く、第3の巨大プラットフォームが生み出されると期待されている点も、XR市場を動かす理由として考えられます。
XR技術を使ったプラットフォームとは、例えるならスマホアプリの「Clubhouse」がバーチャル化したような空間といえるでしょう。複合現実(MR)内でユーザーが他のユーザーと話したり、VRコンテンツを提供したりできるようになるのです。
実際にMicrosoftはMicrosoft Mesh(マイクロソフト メッシュ)と呼ばれる、会議用の共有プラットフォームを発表しました。映画の世界だけだと思っていた空想の世界が、既に現実世界へと変わりつつあります。
このような新たなプラットフォームへの期待も、XR市場を大きく動かす理由になっていると考えられるのです。