アパレル分野の課題を解決!?KDDI開発の『XRマネキン』

written by結木千尋

XR技術を活用し、Web上で“マネキン”を表現。縮小するアパレル市場の課題を解決へ。

KDDIはグーグル・クラウド・ジャパンと協力し、アパレル販売向けのWebサービス『XRマネキン』を開発しました。

同サービスは、店舗サイネージやスマートフォンといったさまざまなデジタルデバイスで、商品を360度好きな角度から確認できるソリューション。クラウド上でレンダリングした映像を、5G通信などを使い、端末にストリーミング配信します。KDDIによると、こうした仕組みにより、表示するデバイスのスペックに依存せず、高精細なマネキンをWeb上で表現できるとのこと。オンライン上でもより実物に近い形で商品を案内することで、消費者のECサイトでの購買体験を良化させられ、かつ店頭では過剰な在庫を用意することなく充分な販売が可能となるそうです。

アパレル業界のEC販売にはこれまで、商品の素材感やサイズ感などを実店舗のようには確認できないという課題が存在していました。そのため、同販路が一般的となった現在でも、実店舗主体で市場が形成されている実態があります。今後の30年でアパレル市場は3分の2の規模まで縮小することが予測されている一方、実店舗では限られた消費者のニーズに応えるため、過剰な生産・過剰な在庫が発生しています。KDDIは『XRマネキン』が浸透することで、こうした同分野の課題を解決できるとしています。同社は今後パートナー企業とともに、実証実験による有効性の検証などをおこない、実店舗への導入を目指していくそうです。

『XRマネキン』概要

(以下、本文はリリースより引用)

特長

・本ソリューションは、360度から立体的に確認可能な高精細な商品イメージを、ウェブブラウザやGoogleアプリを通じて店舗サイネージや店頭接客用タブレットなどさまざまなデバイスに投影可能です。スマートフォンやタブレットを使用するとARで表示することもできます。

・サイネージや接客用デバイスなどで高精細な商品イメージを案内し、販売はECサイト経由で実施することで、店頭在庫を置くことなく販売することが可能です。マネキンなどの展示物を置くスペースなくても、店舗スペースの有効活用や店舗の広さに捉われない新たな販売機会を創出できます。

・お客さまは自宅でもスマートフォンで本ソリューションを利用することができるため、ECサイトと組み合わせて利用いただくことで、販売機会拡大につながります。

活用したGoogle Cloudの新製品『Immersive Stream for XR』とは

Immersive Stream for XRは、Google Cloudの新製品であるマネージド型リアルタイムクラウドレンダリング製品です。クラウド上でレンダリングすることで、スマートフォンのスペックに依存しない形でより高精細な表現が可能です。5Gを活用することで、サイネージなどの大画面に高画質のレンダリングした映像を映す際に快適に利用できます。
サービスごとのアプリをインストールしなくても、ウェブブラウザやGoogleアプリで利用可能です。
光彩など環境を取り込むことが可能となり、例えば明るい場所で利用する際にはARコンテンツも明るく表現されるなど、リアルの環境にあわせた表現に適応します。

『XRマネキン』のモデル表現

XRマネキン

イメージ画像(3DCG分野で協力した株式会社FMBによるもの)

本ソリューションでは、以下の2つの方法からXRマネキンのモデルを表現可能です。

(1)デジタル型紙を使った衣服の3DCG

アパレル業界向けコンピュータ支援設計 (CAD) ソフトなどで制作したデジタル型紙を使って作られた衣服の3DCGを表示可能です。まだ実物がない商品も表現できるので、予約販売 (受注生産) や需要予測などにも活用できます。「au VISION STUDIO」でプロデュースしている髪の毛1本1本までフォトリアルに再現されたバーチャルヒューマン「coh」に着せることで、リアルな着用イメージを確認することが可能です。

(2)ボリュメトリックビデオ

ボリュメトリックビデオとは、人間の動きをそのまま3Dスキャン撮影してデジタル化する技術です。モデルとなる方を専用スタジオにて撮影し、動きも含めて3Dデータ化することが可能です。素材感や布の動きをよりリアルに近い形で再現できます。

written by

結木千尋

ユウキチヒロ。フリーライター・インタビュアー。 関心事はサブカルチャー(音楽・映画など)。 AORとミニシアター系の邦画が大好物。 グリーンカレーの海で溺れたい。