OpenAIが人工知能技術に取り組む理由とは?サム・アルトマン氏が語る最終目標

#AI

written byみなとと

昨年11月末にOpenAIから公開されたChatGPTを起点に、AIの話題は急速に広がっています。

今回は、OpenAIが実現しようとする理念やCEOサム・アルトマン氏の思い、AIの安全性に関する最新発表について詳しく解説していきます。

人類とAIの未来を切り開くOpenAIの理念

OpenAIは、2015年に設立された人工知能研究の非営利団体です。人工知能の発展に伴って懸念されるリスクが高まったことによって、危険なAIを回避することができるように、安全で透明性のある人工知能の開発を目的に設立されました。

創設メンバーには、テスラやスペースXを率いるイーロン・マスク、サム・アルトマン、グレッグ・ブロックマン、ジェレミー・ハワードら著名人も名を連ねており、その存在感はますます高まっています。

OpenAIが目指す安全な人工知能

OpenAIの目標は、人工知能を安全かつ誰もが利用できる形で発展させることを目指しています。世界中の人々が最先端の技術を利用して利益をもたらす友好的なAIを普及させるため、同社は研究開発を進めています。

人工知能のリスクに対するOpenAIの取り組み

OpenAIは、人工知能が人類にとって潜在的なリスクをもたらす可能性があるという考えです。

人工知能が人間の能力を超えた場合に起こりうるリスクとして、安全性や信頼性、透明性、公平性、倫理性、社会的利益などが挙げられます。これらのリスクを最小限に抑えるために、倫理的な問題や安全性を考慮した開発を行っています。

OpenAIの人工知能技術

テキストベースのAI:ChatGPT

OpenAIが提供するサービスとして有名なのが、テキストベースのチャットAI「ChatGPT」です。大量の自然言語データを学習して、文章の自動生成や要約、翻訳などが行えます。

画像生成のAI:DALL-EとCLIP

ほかにも画像生成の分野としてDALL-EとCLIPといったシステム開発、研究にも取り組んでいます。

DALL-Eは、テキストの説明に基づいて画像を生成するAIシステム。一方、CLIPはテキストや画像を理解するAIモデルで、画像に対するテキストでの質問応答が可能です。

CEOサム・アルトマン氏が語るOpenAIの目標

テレビ東京「ワールドビジネスサテライト(WBS) 35周年特別版」にて、OpenAIのCEOサム・アルトマン氏のインタビュー「AI 驚異の進化で一変する世界」が2023年3月26日に放送されました。

インタビューでサム氏は、人工知能技術の発展に取り組む同社の方針を説明しました。AIの価格を低く抑え、全人類が使えるようにすることを目指しており、競合他社の参入も歓迎しているとのことです。

また、ChatGPTはAIの序章にすぎず、今後更なる進化を期待しているとのこと。日本の創造力に感動し、日本人のAI技術の活用に期待を寄せているようです。

最終目標は、人類が安心して利用できる汎用人工知能(AGI)を作り世の中に浸透させること、として、自己学習や自己進化などの機能を持った、人間のようにあらゆるタスクに対して柔軟に対応できるAIを開発したいとも語っています。

「ChatGPTに聞く」から「ジピる」へ?OpenAI日本担当が行った造語アンケートの結果

GoogleでAI Brain研究員として働いていたシェイン・グウ氏は、OpenAIのChatGPTの強化学習技術リーダーであり、日本担当も務めています。

3月末には、シェイン・グウ氏のTwitter上で、ChatGPTを利用する造語アンケートが行われました。

投票の結果は、「ジピる」が一番多い票を獲得しました。

GPTは、Generative Pre-trained Transformer(ジェネレーティブ・プリ・トレーニド・トランスフォーマー)の略です。日本語で説明すると「自発的に学習をしてテキストを生成する機械学習モデル」といった意味になります。

この結果に対してシェイン・グウ氏は、「仮に機械学習モデルよりも凄いコンピューター設計が出てきても使い続けられるため、GPTの“GP”のみを取った「ジピる」が良い」とツイートしています。

 

人工知能の進化に備えた取り組みを発表

OpenAIは、2023年4月5日に公式サイトにて、AIの安全な開発と運用についての方針を発表しました。

発表した内容は、まず新しいシステムをリリースする前にテストを徹底し、改善することです。外部の専門家からフィードバックを受け強化学習を行うことや、実際の使用から学んで、継続して改善に取り組んでいくと述べています。

また、子供を保護することに重点を置くため、18歳未満または13歳以上で親の承認がない人の使用を禁止し、有害なコンテンツの生成を許可しないことも明言しています。

そして、個人情報のプライバシーを尊重し、学習データから削除すること、事実の正確性を向上させることに注力し、継続的な研究や実験に取り組んでいく姿勢を示しました。

人工知能の発展によって、わたしたちの生活が便利になっていく一方で、懸念されるリスクも徐々に明らかになってきました。同社がAIに対する取り組みについて改めて声明を発表したことは、今後の社会において重要視されるべき内容であり、安全な社会を目指すための一歩となるでしょう。

参考リンク:https://openai.com/blog/our-approach-to-ai-safety

人工知能の安全性や透明性の確保が今後さらに重要に

ここ数カ月でAIの発展は凄まじいスピードで進んでおり、私たちの生活を根本的に変えることが予想されています。この流れを象徴するかのように、OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏が4月10日に来日し、岸田文雄首相と会談。午後には自民党の「AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム」にも出席し、ChatGPTの開発に関する7つの提案をおこないました。同氏は日本での研究開発拠点の設置や、日本語や日本文化に特化したAIの精度向上のために日本政府と協力する意向を示しました。また、この会合でChatGPTを日本国内で利用する人数が1日あたり100万人以上に達していることが明らかになっています。

「AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム」に参加した衆議院議員の塩崎彰久氏は、自身のnoteで、OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏が発表したプレゼンテーション資料を公開。

参考リンク:自民党AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム|衆議院議員 塩崎彰久(あきひさ)|note

プレゼンテーション資料の冒頭には、OpenAIの使命として「汎用人工知能(AGI)が人類全体に利益をもたらすことを確実にすること」と述べられています。そしてこのミッションが果たされるとき、人類は前例のない可能性に満ちた未来を手にすることができるかもしれません。

人工知能が人類を凌駕する可能性が高まるにつれ、その安全性や透明性を確保するためにも技術的対策や法整備などに取り組む必要性があります。OpenAIや他の研究機関がAIの技術を発展させていく中で、私たちはその成果に期待する一方で、その進化に対応するために適切な対策を講じる必要があるでしょう。

written by

みなとと

ひとり子育て奮闘中のシングルファザー。
WEBライター(育児・金融・仮想通貨)、
ノーコードアプリ開発など在宅複業で活動中。

関連タグ