【バーチャルシティ事例】仮想都市建設のメリット・デメリット

written by増田あかり

■バーチャル大阪

バーチャル大阪

2021年12月のプレオープンを経て、2022年2月28日に本格オープンしたばかりの「バーチャル大阪」は、2025年大阪・関西万博に向けて、大阪と日本の魅力を発信するために作られたバーチャルシティです。

本格オープン日には、道頓堀をモチーフにした「新市街」エリアが登場。さらに、新たに設置されたワープゾーンから「バーチャル渋谷」との行き来も可能となりました。

3月12日に開催された音楽ライブイベント「VIRTUAL MUSIC LIVE in バーチャル大阪」は、人気VTuber・波羅ノ鬼さん、結目ユイさん、水瀬しあさんを迎え、盛況のうちに閉幕。続く3月25日には、人気YoutuberをMCに迎えたバーチャルライブ「旅立つ君との超応援祭」のイベントが予定されています。

バーチャル大阪へは、アプリ「cluster」から訪れることができます。

 

概要 バーチャル大阪

■使用デバイス

スマートフォン(iOS、Android)

PC(Windows、Mac)

VRデバイス(Oculus Quest2)

■推奨環境(スマートフォン版)

iOS:iPhone Ⅹ 相当以上、 Android:Google Pixel 3相当以上

参考:バーチャル大阪cluster スペック

▼公式サイト バーチャル大阪

https://www.virtualosaka.jp/

 

VRChat必須のバーチャルシティ(2022年春、スマホ対応予定)

■バーチャルOKINAWA

バーチャルOKINAWA

バーチャルOKINAWAは「VRChat」の使用が必須になります。バーチャルOKINAWA内では、

  • “おさかな用ちんすこう”を用いた餌やり
  • 三味線ライブ
  • 沖縄版ラジオ体操
  • 360度沖縄映像体験
  • オンラインショッピング

など、沖縄らしいイベントや体験ができ、コロナ禍でなかなか沖縄へ旅行できない方も楽しめるでしょう。過去のイベントでは、NHK沖縄放送局の「本土復帰50年」テーマソングを手掛けた沖縄出身の5人組バンド「ORANGE RANGE」のデビュー21周年を記念したイベントもおこなわれました。

また、2021年11月投稿の公式動画で、火災で焼損した首里城がバーチャルOKINAWA内で復元を実施することが発表されるとともに、首里城エリア公開に合わせてスマートフォンからでも楽しめるよう開発が進められているとのこと。公開は2022年の春頃に予定しています。

概要 バーチャルOKINAWA

■使用デバイス

PC(Windows)

VRデバイス(VRChat対応端末のみ)

※MacOS、スマートフォン非対応(2022年3月10日時点)

 

下記リンクに、Steamアカウントの作成方法とVRChatのインストール方法がまとめられています。

参考:バーチャルOKINAWAの使い方 | 沖縄発のメタバース バーチャルOKINAWA

▼公式サイト バーチャルOKINAWA

https://virtualokinawa.jp

NFTに興味のある方へおすすめ

■MetaTokyo

MetaTokyo

ASOBI SYSTEM、ParadeALL、Fractonの3社が運営する「MetaTokyo」は、国内外の様々なクリエイターたちとワークショップなどを行う世界初のプロジェクトです。NFTと呼ばれるブロックチェーンを活用したデジタルデータで、“グローバル文化都市トーキョー”を創り出しています。

今まで紹介したバーチャルシティとの違いは、限定イベントや制限エリアへ入場できるデジタルパスポートがNFTとして発行している点です。これまで紹介したバーチャルシティは無料で入場することができましたが、MetaTokyoは一部のイベントや制限エリアを有料で提供しています。

 

概要 MetaTokyo

▼公式サイト MetaTokyo

https://metatokyo.xyz/

 

■Oasis TOKYO

OASISTOKYO

「Oasis TOKYO」は、暗号資産取引所・販売所などを手がけるコインチェックとブロックチェーンゲームの「The Sandbox」のメタバースとNFTを組み合わせたコミュニティです。The Sandboxとは、メタバース空間をボクセルアートの建造物やアバターで作成して遊ぶゲームです。The Sandboxの仮想空間「LAND」上に、「Oasis TOKYO」を建設するプロジェクトになります。

「Oasis TOKYO」の公開は2022年春に予定されており、今後様々な分野のアーテイストとファンが交流できるコミュニテイ空間として、「Oasis TOKYO」を創り上げていくそうです。

2022年3月8日には、サムライ・ギタリストとして有名なMIYAVIとコラボすることが発表されました。「Oasis TOKYO」内で、ライブなどの音楽企画を実施予定とのことです。

 

概要 Oasis TOKYO

▼プレスリリース OasisTOKYO

https://corporate.coincheck.com/press/I8E199JI

 

どうしてバーチャルシティを制作するのか

この章では、バーチャルシティを創造するメリット・デメリットについてまとめました。

バーチャルシティを創造するメリットは?

地域を再現した「バーチャルシティ」が創造される背景には、内閣府を中心に進められている「スーパーシティ構想」があります。「スーパーシティ構想」とは、最先端技術を活用し、第四次産業革命後に、国民が住みたいと思う、より良い未来社会を包括的に先行実現するショーケースを目指す構想です。日本では統合イノベーション戦略2020に基づいています。
(参考1:「スーパーシティ」構想について – 内閣府

(参考2:「スーパーシティ」構想の実現に向けて – 内閣府

海外の事例では、エストニア共和国が「Data Once Policy」を目標に、ほとんどの行政分野で電子化を推進しています。他にもカナダ・トロント郊外では、ヒト・モノの動きをセンサーで把握、ビッグデータで街をコントロールする事例があります。

このような国際的に急速な進展をしている都市設計を日本で実現しようと「スーパーシティ」構想が提唱され、国を挙げて動いているのです。

渋谷区の事例では、コロナの影響で多くの人が行き交うJR渋谷駅の利用が20%以下に激減。「人が来すぎて困る」という問題は「人がいなくて困る」に移り変わった結果、バーチャル渋谷の開発が加速しました。「緊急事態宣言で人がいなくなった渋谷に希望を取り戻したい」という想いから、バーチャル渋谷を制作することで、新たな体験価値を作ろうと動き出したのです。そしてバーチャル渋谷は、自治体公認のバーチャル事業としては日本初となる、渋谷区公認の配信プラットフォームとなりました。
(参考:MUGENLABO magazine

このようにバーチャルシティは、現地へ訪れることができないユーザーに新たな体験を提供する場になりつつあります。バーチャルシティのメリットは、

  • 物理的制約が少ない点(場所・人数・空間など)
  • リアルで実現できない非日常的な体験の提供

があげられます。上記の利点を活用して、企業・地方自治体がバーチャルシティを創造し、実在都市とバーチャルシティの特徴を活かしながら地域を活性化していく取り組みは今後も活発になっていくでしょう。

バーチャルシティを創造するデメリットは?

バーチャルシティの取り組みは、各都市始まったばかりです。考えられるデメリットとして、

  • リアルの熱狂をバーチャルシティ側へ伝えにくい
  • バーチャルシティ上のコンプライアンスのあり方

など、バーチャルシティの人口が増えるとともに、現実世界に関連したイレギュラーな問題も顕在化してくるのではないでしょうか。

2021年11月には、KDDIをはじめとした大手企業が参画する「バーチャルシティコンソーシアム」が発足されています。都市連動型メタバースのガイドラインが策定され、今後の街づくりを進める上で知見が貯まると、新たな視点が見えるかもしれませんね。

今後バーチャルシティは新たなライフスタイルを私たちに提供する

バーチャルシティが私たちの生活と密接に関わってくる未来を考えると、VRデバイスを持っていなくても体験できるバーチャルシティも今後増えていくでしょう。現実世界でよく行く場所、行ってみたい場所がバーチャルシティ化されているのであれば、さっそく訪れてみてはいかがでしょうか?

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written by

増田あかり

ナナメ45度の視点で新たな「オモシロイ」を探求&届けるライター。 フリーランスライターときどき文筆家←SE女子←農業系大学院