VR技術がいま抱える課題と問題点とは?今後の課題と解決策を解説

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written byNuxR編集部

VRは多くの業界で導入が進んでいる最新技術ですが、まだまだ発展途上の市場であるため、現状多くの課題を抱えています。ビジネスに導入するには、複数の課題をクリアしなければなりません。

ここではVR技術が抱える課題を解説するとともに、問題点を解決する方法を紹介します。

VR技術が抱えるコストの問題点

VRをビジネスに導入するときは、少なからずコストがかかります。最近では個人でも購入できる安価なゴーグルも登場していますが、本格的なVRコンテンツを作成、体験する場合には高額な機材の購入が必要です。資金の乏しい企業にとって、導入コストは大きな問題点となるでしょう。

ゴーグルの購入費用だけでなく、コンテンツの制作費用も高額になるため注意が必要です。

導入コストがかかる

VRゴーグルの価格はスペックによって異なりますが、安価なものでも1台数万円かかります。本格的なVR体験をするには、付属品も購入しなければなりません。教育現場にVRゴーグルを大量に導入しようとすると、多大なコストがかかります。

頭部に装着するゴーグルだけでなく、観察するためのカメラやタブレットも必要です。初期費用が高額になりがちな点は、VRの大きな課題だといえるでしょう。

VR機器以上の制作費用がかかる

医療や製造現場において研修のためのシチュエーションをVR空間内に再現するには、VR機器を購入する以上に多大な制作コストがかかります。オリジナルの3Dモデリングや360度動画の撮影に多くのコストがかかるため、資金力の乏しい中小企業には大きなハードルとなるでしょう。

どのようなコンテンツを制作するかによって金額は変わりますが、自社オリジナルコンテンツを制作する場合は最低でも100万円程度かかります。

関連記事:VR動画の制作費用、相場価格はいくら?気になる導入効果もあわせて紹介

VR技術が抱える健康上の問題点

VR技術が抱える最大の課題は、めまいや酔いなど身体に与える影響です。まだ技術が導入され始めて間もないこともあり、健康に関する明確な基準はありません。

今後VR市場が大きく拡大・発展するとともに、健康上の問題点は徐々に改善されていくでしょう。しかし、健康に関する基準が設定されていない現段階では、導入時に注意が必要です。

VR酔いをする

VR酔いをする

車に乗ると乗り物酔いをするように、VRを体験するとめまいや吐き気など、気分が悪くなることがあります。VR酔いをする主な原因は、ゴーグル越しに見るバーチャルな世界と身体の動きのズレによるものです。首を動かしたときに画面の切り替え速度が遅れてしまうと、酔いやすくなります。

激しく動く映像を見たり、自分の頭を動かしたりすると、VR体験中に気分を悪くする可能性が高いため要注意です。

安全基準がない

VRは発展途中の市場であるため、安全基準が曖昧です。ガイドラインは存在しないため、独自の対策を施すしか方法はありません。

VRは非現実の世界に没入できるのが魅力ですが、脳が現実と勘違いしてしまい、めまいや吐き気を起こすこともあります。人によって健康に与える影響は異なりますが、もともとバーチャルな世界に耐性がない人は、VR酔いを起こしやすいため注意が必要です。

VR技術が抱える犯罪リスク

VRプラットフォームやバーチャルSNSといったメタバースの隆盛とともに、犯罪に巻き込まれるリスクとしてこのような事象が想定されます。

  • 悪意あるユーザーがアバターや映像などを悪用し、仮想空間上で光を激しく点滅させたり、画面をみだりに振動させるなどして一般ユーザーへ健康被害を与える
  • ボイスチェンジャーやアバターなどを不正に利用し、他人になりすまして詐欺や脅迫行為がおこなわれる
  • アバターからの反社会的行為やわいせつな行為

過去に起こった事例として、2022年3月「VRプラットフォーム上でわいせつ被害に遭った」とのツイートを発端に、関連キーワードがTwitterトレンドで2位に急上昇。メタバースの将来を考えさせられる出来事となりました。

また、昨今では実在する都市を仮想空間に再現した「バーチャルシティ」や、観光名所を仮想空間で再現する事例が増えていくなかで、仮想空間内の人口が増えればこうした迷惑行為がおこなわれる可能性もあるでしょう。犯罪行為の未然防止や抑止のために、サービスを提供するプラットフォーム側、ひいては政府を挙げての取り組みが急務と考えられます。

参考記事:メタバースでできることは主に4つ!ゲームなどの活用事例を紹介

VR技術を導入するときの問題点

前述した導入コストや健康上の課題などをクリアできたとしても、技術的な問題や環境上の問題などで、VRを現場に導入できない可能性があります。技術に関する知識が乏しく、きちんとした準備が整っていなければ、導入がスムーズに進みません。

ここでは、VR技術を現場に導入するときに生じやすい問題点について解説します。

基本的な知識が必要になる

スマホで脱着できるVRであれば、誰でも簡単に利用できますが、ハイレベルなVR機器にはそれなりの基礎知識が必要です。

美しい画像で非現実の世界を楽しむには、ハイレベルな機器が欠かせません。ソフトのインストールなど、いくつか手順を踏まないとセットアップできないため、導入に戸惑ってしまうこともあるでしょう。

継続使用する準備ができていない

長期的に利用する環境を事前に整えないと、VRのメリットを十分に得られません。授業用のソフトや360度映像などはまだ少ないため、せっかくVRを導入しても継続できない可能性があります。

VRを教育や製造現場などに導入するときは、長期的に継続できるかどうか、必要なソフトが揃っているかどうかを確かめておきましょう。

周囲の理解が得られない可能性がある

各業界で導入が進むVR技術ですが、一般的な認知度はまだ低い状況です。教育現場に導入しようとすると、先生や保護者からの理解を得られない可能性があります。どの業界にも新しい技術に対して抵抗感を持つ人は少なからずいるため、そのような人の協力をいかに得られるかがポイントになるでしょう。

今後VRが世の中にもっと広まれば、現場に技術を導入する理解も得やすくなります。

VR技術が抱える問題点の解決策

VR技術が抱える問題点の解決策

VRには導入コストや健康上の問題があります。どれも難しい課題ですが、工夫次第で導入時のハードルを下げることは可能です。

導入すべきかどうか悩んでいる方は、これから紹介する解決策を試してみましょう。少し工夫するだけで、複数の問題点をスムーズにクリアできます。事前に対策を打ってから導入すれば、VRのメリットを存分に得られるでしょう。

長期的な費用対効果を考える

VR導入時は多大なコストがかかりますが、1度コンテンツを制作してしまえば、半永久的に繰り返し使用できます。初期費用だけでなく、長期的なコストパフォーマンスを考えて導入を検討することが大切です。

自社オリジナルコンテンツを制作するのではなく、すでに開発されている研修コンテンツを購入すれば、導入コストを安く抑えられます。安くレンタルできるコンテンツもあるため、資金の乏しい企業もすぐに導入できるでしょう。

関連記事:VR空間の作成に知識は不要?無料で使える4つのソフトを紹介

遅延の少ない高機能なVRゴーグルを使用する

ゴーグル越しに見るバーチャルな世界と、身体の動きのズレによるVR酔いを防ぐには、遅延の少ないVRゴーグルや動きに強い有機EL搭載のゴーグルを使用する必要があります。

頻繁に動く必要のあるコンテンツや、激しい動きのある動画はVR酔いをしやすいため避けましょう。

長時間の使用を避けて体調管理を優先することも大切です。途中で視聴を停止したり、ゴーグルを外したりすれば、VR酔いなどの健康被害を防止できます。不快感を得る前に十分な休息を取るようにしましょう。

ゴーグルではなくタブレットを使う

VR酔いには個人差があります。もともと車酔いや船酔いが激しい人は、VRゴーグルで気分を崩す可能性が高いです。

人によって向き不向きがあるため、VRが苦手な人のためにタブレットやスマホなど別の端末で見られるようにしておきましょう。幅広い選択肢を用意しておくと、ユーザーが不快感を持たずにサービスを継続利用できます。

事前説明・アナウンスを行う

VRはまだ発展途上の市場であることもあり、健康被害についてきちんと理解していない人もいます。VRは酔う可能性があること、長時間利用すると体調を崩す可能性があることを事前に説明しておきましょう。

VR技術に対して抵抗感を持つ人には、導入するメリットなどを利用前にアナウンスすることも大切です。

VRが抱える問題点を解決してビジネスを発展させよう

VRは多くのメリットがある反面、導入コストがかかりやすい、VR酔いをするといった課題があります。発展途上の市場であるため問題点もありますが、解決策は考えられます。

高機能なゴーグルを導入し、休息時間を取るなどの配慮を心がければ、VR酔いを避けられます。事前に対策を打ち、VRをビジネスに導入してみましょう。

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