パブリックブロックチェーンを基盤とした新しいインターネット「Web3」に関連した本が、書店の店頭のみならず、電子書籍でも次々と登場しています。
「体系的な知識を得られる本から、Web3について学習したい」と思っても、すでに刊行された本は多岐に渡るため、どれを選んでよいかわからないといった方も多いでしょう。
そこで、本記事では、Web3の学習におすすめな本を7冊紹介します。
Web3の学習に本がおすすめな理由
Web3の学習で本がおすすめなのは、知識の習得を図る上で本が最も近道であるためです。
実際、Webに掲載されている記事と異なり、多くの本は、専門的知識を持つ著者が持てる知識と経験を総動員して盛り込んでいます。
加えて、出版社による厳しい校閲と校正のチェックを潜り抜けていることから、本に掲載されている情報は、正確性と信頼性に長けています。
このような本が持つ効用は、Web3関連の書籍も例外ではありません。価格も1,500円〜2,000円ほどと安価のため、気軽に購入するとよいでしょう。
Web3の学習におすすめな本7選
Web3の学習におすすめな本は下記の7冊です。
- Web3 完全初心者への徹底解説
- テクノロジーが予測する未来 web3、メタバース、NFTで世界はこうなる
- Web3とDAO 誰もが主役になれる「新しい経済」
- NFTの教科書 ビジネス・ブロックチェーン・法律・会計まで デジタルデータが資産になる未来
- メタバースとWeb3
- 仮想通貨とWeb3.0革命
- Web3コンテンツ革命 個人と企業の経済ルールが変わる
ここからは、それぞれの本の概要と見どころについて解説します。
Web3 完全初心者への徹底解説
「Web3 完全初心者への徹底解説」は、Kindle専用の本でありながら、Web3の定義のみならず、DeFi(分散型金融)やNFTの概要について解説された本です。
本書の冒頭での記載の通り、それらの専門用語が既知のものとして説明されているのではなく、初出時の技術的背景の説明に加え、事例を交えて説明され、とてもわかりやすい内容となっています。
本の最後の方で、「新たな稼ぎ方が生まれる」や「インセンティブ設計に優れた組織を構築できる」といったメリットに触れられる点も特筆すべきポイントです。
テクノロジーが予測する未来 web3、メタバース、NFTで世界はこうなる
「テクノロジーが予測する未来 web3、メタバース、NFTで世界はこうなる」は、マサチューセッツ工科大学教授などを務めた日本のベンチャーキャピタリスト、伊藤穰一氏が執筆した本です。
本書は、現代のWebが数少ないプラットフォーム企業を中心に展開する中央集権的な構造になってきている流れを踏まえ、Web3やNFT、メタバースの現状について解説しています。
本書は、単に抽象的で難解な用語を解説しているわけではありません。豊富な具体例とともに、未来に起こりそうな事象について、丁寧にひも解いています。メガトレンドを俯瞰的かつ、本質的に押さえたい人にとっておすすめな一冊です。
Web3とDAO 誰もが主役になれる「新しい経済」
「Web3とDAO 誰もが主役になれる「新しい経済」」は、Web3と分散型自律組織(DAO)によって可能になった新しいコミュニティの概要と本質について、インターネットの歴史をひも解きながら、1冊にまとめた本です。
本書で特徴的なのは、Web3が織りなす世界観を独自の表現で肯定している点です。例えば、筆者は、ブロックチェーンが起点となったWeb3について、ユーザーのデータがインターネット上にあり、そのコントロールもユーザーが握っていることから、「自己主権型Web」と形容しています。
また、筆者は、中央管理者が不在のDAOについて、「中心のない、ミッションドリブンのコミュニティ」としています。このように、本書は組織、個人の在り方の観点から、Web3やDAOについて解説されているため、経営者やビジネスパーソンにおすすめの一冊といえるでしょう。
NFTの教科書 ビジネス・ブロックチェーン・法律・会計まで デジタルデータが資産になる未来
「NFTの教科書 ビジネス・ブロックチェーン・法律・会計まで デジタルデータが資産になる未来」は、NFTにまつわるビジネスや技術といった社会実態に始まり、法律・会計・税務上の取り扱いなどの制度面に至るまでを幅広くカバーした、総合的なテキストブックです。
本書で特筆すべきは、仮想通貨取引所から大手法律事務所、マスコミ関係者まで、各界の有識者がNFTをテーマに語っている点です。NFTの網羅性で見ると、業界随一だといえるでしょう。
本書はNFTの購入、売却の仕方など、NFTマーケットへの参入方法も詳細に書かれているため、玄人のみならず、初心者の方も一読することをおすすめします。
メタバースとWeb3
「メタバースとWeb3」は、メタバースとWeb3の連続性を解きほぐしたことを目的とした本です。第6章で構成され、メタバース・Web3の概要のほか、メタバースのビジネスモデルや世界のWeb3企業が解説されています。
本書で最も印象的なのは、メタバースとWeb3の行き着くゴールを「バーチャルファーストな世界」と形容している点です。
筆者によると、バーチャルファーストな世界は、映画「レディ・プレイヤー1」のVRワールド「オアシス」のような完全な仮想世界とのこと。その中で学校に行ったり、仕事をしたりでき、NFT化された経済圏も存在するといい、筆者は「これまでリアルが主でバーチャルが従だったが、いよいよバーチャルが主でリアルが従となる世界ができる」と説明しています。
仮想通貨とWeb3.0革命
「仮想通貨とWeb3.0革命」は、金融業界がWeb3革命の震源地であることを主題に置いた本です。終章を含む第5章で構成され、仮想通貨市場の魅力や筆者が同業界で実現したい想いなどが言及されています。
本書で際立つのは、「ビットコインはWeb3の先駆け」との主張です。一見してビットコインとWeb3は同一視できないように見えますが、筆者は、ビットコインが、思想に賛同した世界中の人々により、今もなお自律的に運営できている状態であることから、Web3の先駆けとしています。
また、筆者は、ほかの著者と同じように、完全にフラットで分散されているDAOこそが、「分散」をキーワードとするWeb3の本質としています。本書は、仮想通貨取引所の代表者が執筆した本であり、仮想通貨業界の視点でWeb3が理解できる点で良書といえるでしょう。
Web3コンテンツ革命 個人と企業の経済ルールが変わる
「Web3コンテンツ革命 個人と企業の経済ルールが変わる」は、ビジネスパーソンがWeb3時代をサバイバルするためのヒントや、10年後のコンテンツ作業の未来予想図をひも解いた本です。
筆者の高橋卓巳氏は、世界初のモバイルNFTゲーム「EGGRYPTO(エグリプト)」や、NFTサービスを簡単に開発できるプラットフォーム「Mint(ミント)」を開発したNFT開発者です。
いわば、本書はNFT業界の先端を行く専門家によって書かれた本であり、ページの節々に鋭い考察がちりばめられています。
例えば、NFTを巡って起こっているビッグトレンドである「NFTを日常的に活用するための新しいユーティリティー(利活用方法)の登場」「リアル世界を巻き込んだブランド化」「既存のリテールサービスとの融合」は、示唆に富んだ指摘だといえるでしょう。
これらの意味で、本書は、イラストや音楽、文章などあらゆるコンテンツビジネスに関わるビジネスマン必見の一冊です。
Web3の本を読んで知識を増やそう
Web3の本の中にも、ポジショニングトークに終始したり、明らかにマーケティングを目的としていたりする本は存在します。
しかし、上記で紹介した7冊は、Web3の本質をついた良書ばかりです。
読み通すことで確かな知識を習得できるのは間違いありません。ぜひ、一冊でも多くの本を手に取ってください。