分散型インターネットと呼ばれるWeb3.0とは?長所や具体例について解説

written by小村 海

Web3.0は、Webテクノロジー進化の第3世代と言われるインターネットの概念のことです。

ブロックチェーンを基盤としたテクノロジーを広範に利用することから、Web2.0と同じくらい破壊的で大きなパラダイムシフトを引き起こす可能性があると言われています。

連載第3回では、分散型インターネットと呼ばれるWeb3.0の定義のほか、長所や具体例、Web3.0の未来について解説します。

>>第1回はこちら「静的なWebサイトと呼ばれるWeb1.0とは?特色や具体例、Web2.0への移行の経緯について解説」

>>第2回はこちら「ユーザー参加を可能にするWeb3.0とは?特徴や具体例を解説」

Web3.0とは何か

普遍的に受け入れられている定義は存在しませんが、Web3.0は、パブリック型のブロックチェーンを基盤としたインターネットの概念です。

言葉としては、2014年に暗号資産イーサリアムの共同創設者であるギャビン・ウッドによって作られました。

その後、仮想世界のメタバースや非代替性トークン「NFT」といった次世代技術の広まりを受け、2020年より暗号資産に熱狂する大手IT企業、ベンチャーキャピタルから大きな注目を集めています。

Web3.0に含まれている技術は、ブロックチェーンだけではありません。

人工知能(AI)や機械学習といった技術も組み込まれており、人間だけでなく、機械でも読み取り可能で、オープンイノベーティブなWebサイトの構築が可能になると言われています。

Web3.0の長所

Web3.0の長所は、データを統合する中央制御組織が存在しないことによる、高い機能に集約されます。

ここからは、Web3.0の長所のうち、ユーザー目線での長所について、解説します。

データの所有権を侵されない

Web3.0は、ブロックチェーンによりデータを管理する中央集権組織が存在しないため、一つの団体によってデータの所有権が侵されることがありません。

すなわち、Web3.0は、エンドユーザーが完全にデータの所有権を持てるのです。

このため、ユーザーのデータは検閲されず、アクセスを作為的に制限されることもありません。

それだけでなく、ユーザーは情報を企業や広告会社と共有し、そこからお金を稼ぐことも選択的に可能になるでしょう。

仲介者がいない

ブロックチェーンを基盤にしたWeb3.0は、企業と顧客がピアツーピアにつながるため、仲介者が存在しません。

これは、電子取引から得られる収益の分配を受ける中央集権組織が存在する既存のWebとは大きな違いです。

Web3.0には、中央集権的な組織が存在しないとなると、誰がネットワークの規制や監視を担うのでしょうか。

答えとしては、Web3.0は、信頼性の高い分散型ネットワークそのものが規制や監視の役割を担うと言われています。

個人化したネット体験

Web3.0は機械学習やAIによってユーザーの好みを反映しやすくなるため、より個人化したネット体験を享受できるようになります。

Web3.0として規定される分散型のWebアプリケーションは、ユーザーのネット利用や習慣を分析し、ユーザーのデバイスや場所に最適化したサービスを提供してくれるでしょう。

ユビキタスな接続が可能

Web3.0はスマートフォンやデスクトップといったデジタルツールだけでなく、電化製品や車両、センサーなど、複数のアプリケーションによるユビキタスな接続を可能にします。

言わば、Web3.0は、あらゆるモノをネットに接続するIoTの技術も導入されているのです。

ユビキタスな接続によって集めたデータは、ユーザーの行動予測にもつながるため、Web3.0はより高度なユーザー体験を提供してくれるでしょう。

Web3.0の具体例

Web3.0は、次のようなさまざまな種類の新しいアプリケーションとサービスの展開を可能にします。

ブロックチェーンテクノロジー

ブロックチェーンテクノロジーとは、情報を記録するデータベース技術の一つであり、取引履歴を暗号技術によって過去から1本の鎖のようにつなげ、正確な取引履歴を維持する技術です。

Web3.0においては、システムを支える基盤技術として機能します。

インターネット上に広がる複数のコンピューターに存在するブロックチェーンの最大の特徴は、第三者による改ざんが不可能であることです。

なぜなら、ブロックチェーン上の記録を改ざんするには、原理的に全てのブロックに含まれるハッシュ値を修正する必要があるためです。

この仕組みは煩雑であり、ブロックチェーンの開発者ならまだしも、改ざん者には不可能だと言わざるを得ません。

暗号資産

政府や銀行などの中央当局によって管理されない暗号資産は、ブロックチェーンを基盤にしていることから、Web3.0に分類されます。

暗号資産では、ブロックチェーンはどう機能しているのでしょうか。

第一に、暗号資産は、ブロックチェーン技術を使用し、通貨量と、誰が通貨を保持しているかを記録します。

さらに、暗号資産の送金や新規発行時に発行するデータの承認作業は、第三者であるマイナーがブロックチェーン上で難しい問題を解く作業を行うのです。

これらのことから、暗号資産は、ブロックチェーンがなければ存在しないデジタルキャッシュと言えるでしょう。

非代替トークン(NFT)

非代替トークン(NFT)は、デジタルアートなど特定のデジタル資産の取引履歴をブロックチェーンに記録していく技術です。

暗号資産もブロックチェーン技術が使われているのですが、NFTは、暗号資産と違い、「ブロックチェーンの中に個別の識別サイン、「唯一無二の固有データ」が記録されています。

それにより、NFT技術に紐づけられたデジタル資産は、それぞれは固有なもの、入れ替え不可能なものになっているのです。

分散型アプリ(Dapps)

ブロックチェーンまたはピアツーピア(P2P)ネットワーク上に存在し、実行される分散型アプリケーション(Dapps)も、Web3.0の代表的な技術の一つです。

Dappsは多くの場合、契約の自動履行を可能にするスマートコントラクトを基盤としたイーサリアムプラットフォーム上に構築され、ゲームや金融、ソーシャルメディアなど、さまざまな目的で開発されます。

Dappsは、分散化されており、単一の組織による制御や干渉を受けることはありません。

このため、Dappsを利用するユーザーは、データを検閲されたり、所有権を侵害されたりすることがないのです。

分散型自律組織(DAO)

分散型自立組織(DAO)は、暗号資産投資家の集合体です。

組織内の構成員である投資家たちは共通の目標を共有しながら、仮想通貨の購入資金を元手に、プロジェクトに共同出資するといった活動を行います。

DAOがWeb3.0のサービスとして分類される所以は、どこにあるのでしょうか。

具体的には、ブロックチェーンを起点とした資金の集め方や管理方法の意思決定にあります。

例えば、投資家たちは、DAOで独自に発行された仮想通貨を購入することで、資金を集めます。

ほかにも、資金の管理方法や使い方といったDAO内での意思決定は、投票により過半数の賛成が得られた後、スマートコントラクトにより実行されるほか、投票などのアクティビティは全てブロックチェーン上に記録されるのです。

Web3.0は机上の空論ではない

Web3.0は、机上の空論ではありません。

国内企業では、有料音楽配信サイトなどを運営する株式会社レコチョクが2021年から社内でWeb3.0プロジェクトを立ち上げるなど、具体的な動きが出始めています。

また、経済産業省が今年7月15日、大臣官房に「Web3.0政策推進室」を設置するなど、国がWeb3.0の事業環境構築に向けて本格的に乗り出しました。

Web3.0の導入推進に向けては官民ともに意欲的であり、国内発のWeb3.0技術が世界を席巻する未来が来るのもそう遠くはないのかもしれません。

>>第1回はこちら「静的なWebサイトと呼ばれるWeb1.0とは?特色や具体例、Web2.0への移行の経緯について解説」

>>第2回はこちら「ユーザー参加を可能にするWeb3.0とは?特徴や具体例を解説」

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小村 海

おむら・わたる。「難しいことを簡単に」をキャッチコピーに活動するフリーライター。元地方紙、雑誌記者。クライアントや物事の良い側面を翻訳し伝えることを活動指針とし、主にIT記事を作成している。趣味は野球で、競技歴は12年を超える。一方で、本好きでもあり、新刊には目が無い。

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