リーガルテック企業Legal AIが、ChatGPTを活用した法律相談サービスを2023年7月21日に無料で公開。ユーザーの質問から、法令文や判例、論文などの大量の情報を解析し、法的問題に対して具体的な解答を提供しています。
AI弁護士への法律相談が24時間可能に
AI弁護士ツール「理上 愛子(リガル アイコ)」と「理上 正義(リガル マサヨシ)」が相談を受けるこのシステムは、真面目な法律相談から実際の弁護士には聞きにくいものまでチャット形式で質問が可能になっており、日々のなかで浮かぶ「これって犯罪になるのかな?」といった疑問や「弁護士ってどうやってなるんですか?」のような、弁護士にまつわる質問にも即座に回答。弁護士の切り替えはページ上部の弁護士アイコンの左右にある「<」「>」ボタンで変更でき、音声での読み上げにも対応しています。
なお、7月26日の発表によるとAI弁護士への質疑応答が2日で1000回を超えたことが公表されており、利用者からの関心の高さが窺えます。
ちょっといじわるしてこんな質問も……。
法律相談が本来の用途となるLegal AIですが、実際の法律相談の場面で気になりそうなのは、胸にキラキラと輝く「弁護士バッジ」のことかもしれません。何がモチーフになっているかあらためて調べたところ、日本弁護士連合会のサイトの記載によれば、外側には「ひまわり」、中央には「はかり」がデザインされているそうです。
このモチーフについて、Legal AIに「日本の弁護士バッジは何がモチーフになっていますか?」と何度か質問をすると、回答は「菊」、「五つの輪」、「鳩」と内容にブレが見られました。
Legal AIの発表では、「AIはあくまで道具であり、最終的な判断は人間が行うべきという方針で運用している」と説明しており、AIが知識の正確性を保証することの難しさを示す一例と言えるかもしれません。
今回の質問は本来の用途とは異なりますが、AI法律家の主な弱点として、専門性や実務経験に基づく「勘」や直感による対応が難しく、また、客観的なデータで表現しきれない法律上の複雑さを完全には処理できない可能性があるとし、実際の問題解決に対応するために本物の弁護士や法律事務所がサポート役として存在しているそう。AIが解決できない問題でも、包括的なサポートを受けられそうです。
今後のアップデートでは自分の声の音声組み込み機能や、実在の弁護士がAI弁護士ツール化するなどが予定されており、気軽に訪れられる法律相談所のような役割にも期待できそうです。ユーザーからの質問が蓄積されれば、より頼もしいツールに成長する可能性を秘めています。
公式サイト:Legal AI – AI法律相談サービス