Mojo Visionが開発中の「AR機能を搭載したコンタクトレンズ」

written by結木千尋

AR技術を活用したスマートコンタクトレンズ『Mojo Lens』。2021年内を目処に完成予定。

アメリカのスタートアップ・Mojo Visionは8月24日、かねてから開発を進めていたAR機能搭載のコンタクトレンズ『Mojo Lens』のプロトタイプを発表しました。同社によると、2021年内に「全ての機能を実装したスマートコンタクトレンズ」が完成する見込みとのこと。これまで娯楽の分野にほぼ限定されていたAR技術の活用は、このスマートコンタクトレンズの完成で私たちの日常にも溶け込んでいきそうです。

Mojo Visionについて

Mojo Visionは、AppleやAmazon、Googleといった巨大企業でエンジニア経験のあるメンバーが設立したスタートアップ企業です。「目に見えないコンピューティング」を掲げ、2015年に設立。2020年に、デジタル情報を視界に表示するスマートコンタクトレンズ『Mojo Lens』の開発を発表しました。過去には、日本の有名なコンタクトレンズメーカーである株式会社メニコンとの提携や、5,800万ドルの資金調達などもおこなっています。

Mojo Lensが私たちの暮らしにもたらすもの

Mojo Lensは、アイトラッキング機能や周囲を認識するカメラを内部に備え、スマートフォンなどのデジタルデバイスとワイヤレスに通信できます。バッテリー寿命は、初期の製品で約1時間を想定しているとのこと。最終的には、従来のコンタクトレンズのように1日中装着でき、一晩充電するだけで翌日も利用できる実用性を目指すそうです。

Mojo Lensの活用は、さまざまな面で私たちの生活を便利にする可能性があります。たとえば、視力に障害のある人は、同レンズが文字の輪郭、道路と縁石の境目などを際立たせることで、従来より円滑に日常生活を送れるかもしれません。ジョギングやサイクリングといった運動を趣味にする人であれば、他のデジタルデバイスに目を向けなくても、走行距離や心拍数を確認することが可能となります。

現実の視界内に、その日の天気や気温といった気象情報が表示されている

Mojo Visionは製品化のタイミングについて、具体的なスケジュールを示していませんが、すでに一般的なコンタクトレンズと同等のサイズまでの小型化・軽量化に成功しています。AR機能を搭載したスマートコンタクトレンズは近い将来、私たちの暮らしのなかに当たり前に存在するものとなるかもしれません。

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結木千尋

ユウキチヒロ。フリーライター・インタビュアー。 関心事はサブカルチャー(音楽・映画など)。 AORとミニシアター系の邦画が大好物。 グリーンカレーの海で溺れたい。