メディアアーティスト「Refik Anadol」がXRで魅せた、モダンなデータペインティング

written byNuxR編集部

アートとデータの融合。あたらしい知覚を再考させるメディアアーティスト「Refik Anadol」の作品群

Refik Anadolが制作する作品分野は「データ絵画」や「データ彫刻」とよばれる表現領域だ。彼がこれまでにアートに用いたデータは「自動車の色」、「アルツハイマー病となった叔父の脳波」、「望遠鏡から見た火星の画像」、「デジタルアーカイブされた100年分のデータ」……そこにファイルがあるなら、どんなデータでも彼にとっては絵の具になり、彫刻をするための道具にもなるだろう。

データを絵の具に、思考を筆代わりに――デジタルアートの先駆者・Refik Anadol(レフィーク・アナドール)の作品を見てみよう。

MACHINE HALLUCINATION

機械学習アルゴリズムを活用し、SNSにアップされたニューヨークの写真の収集と処理をおこなったアートプロジェクト。AIが集めた写真データはその数なんと1億1,300万枚!

ひとつずつ確実に処理されていくデータは停滞を知らない。写真のような形をした無数のオブジェクトたちが、渡された指示通りに進み、うねり、消える。

 

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1億枚を超えた写真データがデザインのためのAIによって解釈され、豊かな動きを持ってオブジェクトが突き進んでいく。これは現実か、はたまた幻想か。世界の最先端を行くニューヨークの移ろいを物語った展示作品だ。

展示の様子はRefik AnadolのYouTubeチャンネルからも見ることができる。

Memories of Machinery:Space

「Memories of Machinery:Space」で使用されたデータは、宇宙の様子を観測するための望遠鏡から取得した画像、そして衛星によってキャプチャされた観測データなどをAIが処理し「データ絵画」として表現。宇宙というダイナミックなテーマではあるものの、日々刻々と刻まれた繊細なデータがキャンバスを這うようにして宇宙を描いた、流動性のある作品に仕上がっている。

 

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 XR Data Painting

TwitterではXR技術を採用したデータペインティングシリーズも公開されている。

キャンバスが小さくなるとアクアリウムでデータを飼育しているような見方もできる。照明を落とした自室で独り占めしたくなる、端正でクールな作品だ。

彼の手にかかれば、この世に存在するデータはありとあらゆる画材になる可能性を秘めている。世界中のありあまるデータから、彼にとって良い収穫があることを日本から願っている。

データを絵の具に、思考を筆代わりに。

創作の原動力はどこからやってくるのか、何がRefik Anadolを駆り立てるのか、これらはRefik AnadolのTED Talksで詳しく語られている。いまアートに感化されたい時期にあるなら、ぜひチェックしたい。

Refik Anadol プロフィール

Refik Anadol

1985年生まれ。トルコ・イスタンブール出身のメディアアーティスト、デザイナー、空間思想家。

現在はカリフォルニア大学LA校・デザインメディアアーツ学部の講師兼客員研究員に従事する傍ら、ロサンゼルスでメディアアーティストとして活動中。

これまでにロールス・ロイスとのコラボレーション作品や、ウォルト・​ディズニー・コンサートホールで行ったプロジェクションマッピング動画の制作など企業とのコラボレーションも果たしており、現代美術家として確かな評価を得ている。

デジタルペインティングのために開発されたAIとクローリングで抽出したデータを駆使した、革新的かつエネルギッシュな力を放つ空間デザインが彼の作品の特徴だ。

Refik Anadol HP

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Refik Anadol Studio(YouTubeチャンネル)

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