SRシステムにおける基本装備
SRシステムの基本装備がエイリアンヘッドです。エイリアンヘッドにはカメラとヘッドフォン、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)、加速度センサーが組み込まれています。
エイリアンヘッドに用いられている技術はシンプルなものですが、SRシステムを利用するためには欠かせません。未来感のあるデザインをしているヘルメットのエイリアンヘッドを用いることで、SRシステムが利用できます。
SRシステムを実験する流れ
SRシステムの実験の流れは次のとおりです。
1. 体験者が入室する動画を体験者には知らせずにカメラ撮影
2. 前述のとおり、エイリアンヘッドを装着
3. リアルタイムの映像と音声を流す
4. 体験者のいる場所で最初に撮影した過去映像へ切り替える
過去映像に切り替えた段階で体験者は過去映像を現在の映像だと認識し、現実か非現実かの判断ができなくなります。仮に作成された映像の人物が話しかけると、体験者は現実に人がいると認識して普通に会話を始めるほどだそうです。
SRに今後期待される可能性とは?
SRに今後期待される可能性として「メタ認知に関する不明点の究明」「新しい心理療法としての展開」「デジタルコンテンツとの新たな連携」の3つを紹介します。
SRシステムの開発が進み実用化されれば、人のメタ認知や高次脳機能へのアプローチが可能です。心理療法などの医療分野をはじめ、さまざまな分野での活用が可能になるでしょう。
メタ認知に関する不明点の究明
SRの技術開発が進むことでメタ認知の不明点が究明される可能性があります。メタ認知とは思考や感覚、判断といった自分の認知を客観的に捉えることを指します。メタ認知は数多くの研究が行われていますが、現在の技術では完全な究明はできていません。
しかし、SRの活用によってアプローチが可能になれば、脳機能や心理・心拍などの生理状態まで調べることができ、メタ認知の仕組みの究明にもつながるでしょう。
新しい心理療法としての展開
心理機能であるメタ認知を究明できれば、心理療法としての展開も期待できるでしょう。
患者によって違いはありますが、心的外傷後ストレス障害などの治療方法には、抗うつ剤などの薬の服用や認知行動療法などがあります。
SRがさらに進歩すれば、ヒトの精神状態まで調べられるようになります。また、SRは現実と非現実を任意に操作できるため、今までになかった新しいアプローチで心理療法が行えるようになるでしょう。
デジタルコンテンツとの新たな連携
SRは現実か非現実かを区別できない体験が行えるシステムですが、さまざまなデジタルコンテンツとの連携も可能です。デジタルコンテンツとの連携によって新たなインターフェースとして活用でき、現実と非現実の区別がつかない新しい映像体験が提供できるでしょう。
「過去を現実だと錯覚させる」という、今までにはなかった映像表現が実現でき、新たなビジネスにつながる可能性も秘めています。
舞台作品としての活用
SRが実用化され、さらに普及すれば新たな舞台体験の提供に期待ができます。実際、日本科学未来館にて、SRシステムを用いた舞台「MIRAGE」が公開されました。
SRシステムはエイリアンヘッドを被ることで、現実に起こっていることや過去に起きたことを区別なく再現して体験できます。舞台作品にSRシステムを活用すれば、現実であっても過去映像であってもリアルな形で舞台を体験できるでしょう。
SRのビジネス活用に期待
SRはVRを応用して生まれた技術です。しかし、仮想や拡張といった非現実が前提となるARやVRとは異なります。SRは現実と非現実の区別をなくし、映像を現実として体験させるため、VRとは大きく考え方が異なる技術です。
SRシステムが普及すれば、今まで解明されなかったメタ認知を紐解くことにもつながるため、心理療法などの医学分野でも大いに役立つでしょう。ユーザーに新しい映像体験や舞台体験を提供できるSRの、ビジネスでの活用に期待しましょう。