引きで見れば二次元的平面の作品としても成り立つ
3Dと2Dを行き来しながら、また奥行きを確かめたくなるのもアンナが手掛ける作品の楽しみ方のひとつだ。立体の中の色をたどりたくなるような、冒険心をくすぐる作品ぞろいである。
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Anna Zhilyaevaのユニークな技法はどこからやってきた?
10代半ばから新旧の芸術を学んできた彼女は、アニメーター、肖像画家、ゲームデザイナー、イラストレーターなどさまざまな活動を経て、その時々のテクノロジーや描法に触れてきた経験から「VRで絵を描く」という着想を得たのだそう。
VRヘッドセットを装着し、絵筆……もとい、コントローラーを握り、ペイントツールである「Tilt brush」や「MasterpieceVR」、「AnimVR」といったアプリを用いて作品は制作される。
彼女が描く技法についてアンナ自身は、メモリが許す限り色を塗り重ねられること、そして重力や現実の制約を破り自由度が増す制作ができることから「Volumism(ボリューミズム)」と呼んでいる。
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厚く塗られた油絵のような筆のタッチとストロークを持ち味にして、仮想キャンバスに筆跡を残していくアンナ。筆が進むとともに熱を帯びていくヘッドセットの機械的な匂いを感じているであろうその姿からは、幾重にも重ねられた油絵の具がその香りを漂わせる場面と重なった。伝統的アートと最先端技術を掛け合わせた表現はまさに「現代美術」と呼ぶにふさわしいのではないだろうか。VRやMRを用いたVRアートの先駆者として、現代美術界を盛り上げていくアンナ・ジルヤエワの活躍に注目だ。
Anna Zhilyaeva Twitter (@AnnaDreamBrush)