ARアプリ開発の手順と注意
ARアプリを開発する際に注意することは何でしょうか。順を追いながら、一緒に見ていきましょう。
ARアプリ開発手順
ARアプリを制作するためには、どのようなAR体験をユーザーに感じ取ってもらうかなど、コンテンツ設計を行います。コンテンツ設計をもとにプログラミングを遂行し、完成するとテスト端末などを使ってARが表示されるかを確認。テストと改善を繰り返し、品質に問題がなければアプリ化して、公開しましょう。
開発の注意点
ARアプリを開発するにあたって、最初から複雑な仕組みのARを盛り込まないようにしましょう。失敗が続いて、アプリ開発に挫折する可能性が高くなるからです。また、「売れているアプリのマネをすれば……」と既存のアプリに類似したものをリリースすると、著作権違反になる可能性があります。法律の遵守に気をつけましょう。
なお、ARアプリの公開にあたっては、規約に不備があるとユーザーの悪質な行動の責任をデベロッパー側が負う可能性もあります。利用規約や禁止事項の設定も明確にしましょう。GPS型ARの場合は、ユーザーの位置情報を取得するため、個人情報の漏洩がないように注意が必要です。
ARアプリの開発費用
ARアプリに限らず、開発は人件費と開発期間で算出されます。人件費はエンジニアやプログラマの技術力によってピンキリです。例えば、下請のプログラマの場合、40~60万円/人月程度、上級エンジニアになると120~160万円/人月程度の人件費が必要になるでしょう。
一方、ARアプリの開発期間は、平均で半年以上かかるといわれています。検索ツールのような簡易なアプリであれば約3ヶ月で済むこともありますが、ゲームアプリの場合は1年以上かかることもあります。
また、アプリをリリースする際には、申請費がかかります。Apple Storeの場合、年間で1万1,800円程度、Google Playは初回のみ25ドル支払うほか、30%の販売手数料も発生します。
ARアプリ開発の参考になる書籍
ARアプリを開発するうえで、参考になる書籍をいくつか紹介します。
初心者向け「SwiftでつくるARKit超入門」
Appleが提供するARKitとSwiftを使って、サンプルを作りつつ学習する入門書が「SwiftでつくるARKit超入門」です。特徴点の抽出からメジャーアプリの実装まで、基本的な機能から応用に至るまで紹介されています。
Swiftを使ってiOSアプリの開発経験がある人はもちろん、「どんなARを制作したらいいのかわからない」という初心者にとってもおすすめの一冊です。
ARKit超入門 – おもちゃラボ BOOTH – BOOTH
中級者向け「ARKitとUnityではじめるARアプリ開発」
ARKitとUnityといったARライブラリを使ってアプリを開発するための入門書が「ARKitとUnityではじめるARアプリ開発」です。出版元の秀和システムのサイトからサンプルコードをダウンロードして、開発環境のUnityでアプリを制作していきます。
本書では、3Dモデルを簡単に扱えるUnityの基本的な使い方がわかっていることが前提で説明されているため、ARアプリの開発手順を知りたい中級者以上のエンジニアにおすすめの一冊といえるでしょう。
ARKitとUnityではじめるARアプリ開発 – 秀和システム あなたの学びをサポート!
上級者向け「ARの教科書」
制作したデジタル情報を現実世界にどう融合するのかについて、原理から実践まで網羅的に書かれた本が「ARの教科書」です。ARアプリの開発方法が説明されているというよりも、これまで研究されてきたARの活用事例が詳細に説明されています。
700件近くの論文が参照されており、過去にどのような手法があったかや代表的な事例はどれなのかなど、リファレンスとしての活用がおすすめです。
ARアプリ開発で新しいサービスの創出を
現実世界では体験できないデジタル情報との融合した映像を、スマホなどを通じて体験できる技術がARです。マーケティングとの相性のよさから、アイディア次第ではSNSなどで多くの人々に拡散される可能性を秘めています。
ARアプリ開発のライブラリや書籍もたくさんありますので「何か新しいサービスを始めてみたい」という方はARの活用を検討してみてはいかがでしょうか。