NFTはなぜ売れる?売れる理由や高額で取引されたアートの共通点とは

written byウィリー

デジタルアートが数億円で取引されているなど、何かと話題性のあるNFTですが、昨今ではNFTでの販売を積極的に取り入れている日本のアーティストも台頭してきました。

また、大手企業からクリエイターまで幅広い分野で注目され始め、NFTという言葉の一般的な認識度も高くなってきたとも言えるでしょう。

では、NFTは実態のないデジタルデータであるにもかかわらず、どうして売れるのでしょうか?

実は、高額で取引されているNFTには売れる理由や共通点があるのです。

今回の記事では、NFTが売れる理由や実際に高額で取引されたNFTアートの共通点について詳しく解説していきます。

NFTとは?

まず、NFTとは一体どういったものなのかを見ていきましょう。

NFTとは、「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」の略称で、デジタルデータに識別子を持たせ、デジタル上でデータを保有できるようにした技術のことを指します。

無断で複製や偽造されないようデジタルデータに鑑定書を付け、世界でも稀有なデータ、または世界に1つだけの唯一性があるデータと、「公的な所有証明」ができるようになったとも言えるでしょう。

NFTはどうして高額で売れる?

Vincent Willem van Gogh

高額で取引されているアートなどには、必ず希少性があります。

例えば、ゴッホの代表作である「ひまわり」は連作としても有名ですが、世界に7枚しか存在しません。

そのため、非常に希少性が高く、高額で取引されているのも頷けます。

一方、同作品は写真撮影やSNSでの発信も許可されていますので、展示されている「ひまわり」を撮った写真に希少性はありませんし、高額で取引されることもないでしょう。

また、拡散された写真はいくらでも保存やコピーすることもできます。

しかし、仮にゴッホが「ひまわり」を描き終わった後に1枚だけとった写真があるとして、それを公的に本物を所有していると証明することができ、インターネットにアップロードしたとしても、第三者は保存やコピーも不可能だとしたらどうでしょうか?

おそらく、その写真も非常に高価な物となるでしょう。

NFTの登場により上記のようなことが実現したため、有名アーティストが1枚だけ制作したデジタルアートや人気のフォトグラファーが1枚だけ撮った写真のデータ、シリアルナンバー付きのデジタルチケットなど、実体のないデジタルデータに資産としての価値を持たせることが可能となりました。

そして昨今では、メタバース内の不動産など幅広い分野において、NFT化された希少価値の高いデジタルデータは高額で取引されています。

高額で取引されたNFTの事例

続いて、実際に高額で取引されたNFTの事例を見ていきましょう。

CryptoPunks(クリプトパンクス)

出典:CryptoPunks公式サイト

CryptoPunks(クリプトパンクス)とは、2017年にカナダのエンジニアであるMatt Hall(マット・ホール)氏とJohn Watkinson(ジョン・ワトキンソン)氏が設立したLarva Labs(ラルバ・ラボ)から発表された、イーサリアム最古のNFTプロジェクトの1つです。

CryptoPunksは、Punk(パンク)と呼ばれる24×24pixel(ピクセル)で作成されたそれぞれ異なる10,000体のNFT画像を開発し、世界に1つだけのドット絵として発表されました。

発売当初の2017年には、イーサリアムのウォレットを持っていれば無料でも入手することができたのですが、2020年頃にはNFTの人気とともに価格が高騰します。

そして、世界中の著名人がSNSなどでCryptoPunksの購入を発表し、自身のプロフィール画像にPunkを使用したことからさらなる話題を呼びました。

2021年8月には、クレジットカードで有名な世界的企業『VISA』がCryptoPunksを約1,700万円(当時の価値)で購入したことも大きな話題を呼んでいます。

NFTは、保有者の履歴も公的に証明できるため、1度でも著名人が手にすることがあればその付加価値でさらに値上がりするとも言われています。

ちなみに、CryptoPunksの過去最高売却額は「約2,300万ドル(当時の価値で約27億円)」です。

坂本龍一氏のNFT音源

出典:坂本龍一 NFT特設サイト

日本のトップアーティストの1人、坂本龍一氏の代表曲の1つである「Merry Christmas Mr. Lawrence(戦場のメリークリスマス)」は、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

そんな世界的名曲を持つ坂本龍一氏が、2021年12月にMerry Christmas Mr. Lawrenceの音源の右手メロディー全595音をデジタル上で分割した1音を、1つのNFTとして販売したことが世界中で大きな話題を呼びました。

そして、1つ1音のNFTはNFTマーケットプレイスの「Adam byGMO」にて税込み10,000 円の価格で一次販売されたところ、開始と同時に世界中からのアクセスが殺到。

サーバーがダウンし、ほとんどの取引ができない状態にまでなりました。

同作品の2022年11月までの合計取引額は「7,816万5,950円」となっています。

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ウィリー

NFT、仮想通貨、投資信託の記事を書くことが多く、現在は東証プライム企業でも執筆中です。   自身でも暗号資産やNFT、米国株式を中心に、幅広く投資を行っている経験から金融領域の仕組みやリスクなど、俯瞰的に分かりやすく解説することを心掛けております。