ずっと見たかった「秘湯ロマンVR」はどうだった?
再生を開始した際、かなり分数が短いことに気がついた。てっきりテレビ番組をVR化したものだと思っていたのだが……お宿のごはんタイムはカットされているのだろうか?
冒頭の「静かな戦士」を全身で受け止めようと身構えていた私だが、冒頭から聞き慣れない音楽が流れてきて拍子抜けしてしまった。なんでよ広志ィー!
「静かな戦士」は最初から最後まで流れなかった
はやる気持ちを抑えきれず、#1と#2を早送りで見てみた。#1は歴史ある宿で、#2は新しめの宿だった。#2は旅人が外を歩く場面も収められている。が、静かな戦士が流れるシーンはまったくなかった。「静かな戦士」が流れない秘湯ロマンって一体……!!
Oculusから視線をスマホに落とし、DMM.comのレビューを見た。しかし、円広志の主題歌が流れないことに誰も触れていないではないか。――そこに愛はあるのかい!?
番組とVR動画版の違い
- ナレーションは丸山未沙希さんではなく旅人が読んでいる
- VR版では宿のご飯シーンがない
- 番組は30分だが、VR動画は7分
- VR版には撮影現場が収録されている
といったところだろうか。秘湯ロマンの視聴者であれば「お決まりの流れはどこに!?」と目を丸くするだろう。
そういった一方で、「秘湯ロマンVR」では実際のロケがどのようにおこなわれているかを見せてくれる。テレビでは見ることのできない非常に貴重なシーンだ。
テレビでおなじみの泉質表示などのラベルが出てくるあたりは秘湯ロマンの雰囲気を感じられる。なにより美女と温泉が流れる音が美しい。画質は若干気になるものの、テレビでは体験できない臨場感がそこにはあった。
買い切りで1本550円、筋肉痛の数日間は楽しめそうだし、1年に1度は癒やしを求めて見るときがきっとくるだろう。
長年のファンなら「秘湯ロマンVR」を見ずしては語れない
「秘湯ロマンVR」では円広志が歌う主題歌が流れない――これだけでも十分な語り草になるであろう。長年続くお決まりの流れではなく、「秘湯ロマンはこうしてできている」という別のアプローチから仕掛けてくる内容だ。ご長寿番組の静かな挑戦ともいえる作品に仕上がっている。
長年のファンであれば、秘湯ロマンを語る上で欠かせない動画になることは間違いないだろう。
次があるなら、私の推し旅人である秦瑞穂ちゃんや梨木まいちゃんが出演した動画が見たいものだ。(もちろん円広志の歌も添えて……!)
今後VRと連動したテレビ番組は増えていく?
ビックカメラでOculus Quest 2を買った際、実際に買える階はゲームコーナーなのにテレビコーナーに展示だけがされていたのを思い出した。
売り場は別の階なのになぜここに? と、このとき疑問が残ったのだが、今後はテレビ番組の連動コンテンツなどとしてVRが楽しめるという将来を見据えたビックカメラからの提案だったのかもしれない。
テレビ朝日では2021年春から「声優パーク建設計画VR部」というVR空間と連動した番組を放送している。若年層を中心としたテレビ離れが叫ばれて久しいなか、ターゲットを見据え、VR技術を活用した番組制作に取り組む姿からはテレビの可能性をVR技術で広げていきたいという姿勢が伺える。
今後VRゴーグルが普及すれば、秘湯ロマンを含めコンスタントな制作が期待できそうではある。いつかVR化が叶うなら、BS朝日で放送している「鉄道・絶景の旅」のVR動画も見てみたい。
テレビ朝日は紀行番組づくりの匠でもある。さまざまな角度から、これからも旅番組ファンや観光業界を大いに盛り上げてほしい。