Web3の主要な概念であるDAOとは?5つの事例も紹介

written by小村 海

Web3を支えるコミュニティとして、DAOへの関心が高まっています。

暗号資産に加え、分散型インターネットのWeb3の転換点となったDAOは、一体どういった組織なのでしょうか。

本記事では、DAOの定義やWeb3における立ち位置のほか、プロトコルDAOや投資DAOなど、5つの実例を紹介します。

DAOとは

DAOは、分散型自律組織(Decentralized Autonomous Organization)の略称です。実質的には、契約の自動履行機能であるスマートコントラクトをブロックチェーン上で用いて自律的に事業を運営する方法を指します。

DAOでは、意思決定や実行などは、あらかじめプロトコルで定められたルールにしたがって自律的に行われるのが特徴です。

例えば、イーサリアムを活用したサービス「Colony」は、フリーランスが互いに独立して自律的に仕事を受発注できる仕組みを構築しています。

言わば、個人や参加者がプラットフォーム企業を介さずに、独立して他の参加者と連携できるのです。これらのDAOの仕組みは汎用性が高いとされ、今後の発展に注目が集まっています。

DAOはweb3を構成する主要な概念の一つ

DAOは、パブリックブロックチェーンを基盤としたウェブサービスの総称であるWeb3の進化において、重要な役割を担う概念の一つです。

Web3は、ブロックチェーン技術によってデータを個人に分散させることで、特定のプラットフォーマー(中央集権組織)に依存しない仕組みの構築を目指しています。

こうしたweb3の理念は、DAOの仕組みと合致します。

例えば、DAOは、組織がピラミッド形態ではありません。階層的に権限と責任が割り当てられる従来の組織と異なり、草の根的な構造となっているのです。

さらに、投資対象の決定や組織内のルール改変といった意思決定の過程が、全て外部に公開されています。従来組織では、意思決定がクローズドになりがちですが、DAOは意思決定の過程が透明化されている点で、オープンイノベーティブと言えるでしょう。

このように、DAOは、ブロックチェーンによって自律的な自治統治機能や、分散型ガバナンスを有していることから、Web3の主要な概念と言われているのです。

DAOの実例

DAOと一言に言っても、その種類は一つではありません。

目的に応じて、組織運営方法やルール、投資対象などは多種多様です。

それを踏まえ、ここからは、プロトコルDAOや投資DAOなど、5つの実例を紹介します。

プロトコルDAO

プロトコルDAOは、主としてDeFi(分散型金融)を支えるために構築されたDAOのことです。

DeFiの世界では、スマートコントラクトの機能によって自動実行されるプログラムをプロトコルと呼びます。

DeFiが適切に運用されるには、プロトコルが不可欠であり、プロトコルDAOはその仕組みを根底から支えているのです。

具体例には、ガバナンストークンであるMKR(メイカー)を利害関係者間の意思決定に使うMakerDAOなどがあります。

投資DAO

投資DAOは、その名の通り、投資することそのものを目的として設立されたDAOです。

投資DAOでは、構成員が手持ちの資産やトークンを供託プールに出し合い、その供託プールの資産を財源に、あたかもファンドのように投資を行います。

投資の対象としては暗号資産になることが多いものの、実物資産が対象になるケースも少なくありません。

代表例には、「The DAO(ザ・ダオ)」があります。The DAOは2016年、発足から間もない時期にある暗号資産イーサリアムを、投資ファンドの形態で1億5000万ドル分集めるなど、注目を集めました。

コレクターDAO

コレクターDAOは、NFT(非代替トークン)などの資産を共同で購入、投資し共同保有することを目的としたDAOです。

投資DAOのケースと同じように、実物資産に投資するケースがあるものの、現時点では、NFTへの投資事例が圧倒的多数を占めています。

具体例には、NFTの収集に特化したフラミンゴDAOがあります。フラミンゴDAOは2020年10月の設立以来、順調にNFTの保有数を増やし、2022年2月時点で、保有資産総額は10億ドルに達したと言われています。

ソーシャルDAO

ソーシャルDAOは、オンラインコミュニティとして同じ目的、同じ考え方を持つ人々が集まり、意見を交換することを目的としたDAOです。

通常のオンラインコミュニティと同じように、ソーシャルDAOは、誰でも開かれた組織ではありません。入会にあたってある程度の審査を必要とします。

また、指定のトークン数を取引所などで購入することなどを入会条件と定めているソーシャルDAOもあるようです。

ソーシャルDAOの具体例には、FWB(Friends With Benefits)があります。当初はDiscordのグループとして始まったFWBは、コミュニティの人気の高まりに伴い、マイアミやパリ、ニューヨークなどでメンバー限定のパーティーを開くなど、さまざまなイベント活動を開催しています。

DAOを作るためのDAO

DAOを作るためのDAOは、DAOの仕組みを簡易に実現できるDAOのことです。言わば、後発者向けにDAOの運営を行うためのツールやソリューションを提供しており、別名でDAO Operating Systemと呼ばれます。

代表事例には、Aragonがあります。Aragonは若干数クリックでスマートコントラクトをブロックチェーン上に展開できるのが特長です。ブラウザ基盤の三次元仮想世界プラットフォーム「Decentraland」など有名なプロジェクトが採用しています。

DAOは組織ガバナンスの在り方を一変させる

DAOは、インターネットネイティブの組織として、コーポレートガバナンスの仕組みを完全に変える可能性を秘めています。

しかし、DAOには、当局による法的枠組みはありません。この点、DAOは完成に向けて努力が必要だと言えます。

それでも、これらのデメリットが解消された後、企業を中心に新旧多くの組織が、活動を管理するためにDAOモデルを採用する可能性が高いでしょう。

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written by

小村 海

おむら・わたる。「難しいことを簡単に」をキャッチコピーに活動するフリーライター。元地方紙、雑誌記者。クライアントや物事の良い側面を翻訳し伝えることを活動指針とし、主にIT記事を作成している。趣味は野球で、競技歴は12年を超える。一方で、本好きでもあり、新刊には目が無い。

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