VRによるリハビリ・福祉の活用事例4選。変わりゆく社会参加の形

written by増田あかり

現在、“超高齢社会”真っ只中の日本。医療・福祉の人手不足が深刻化するなか、この問題の解決策のひとつとして年々注目度が高まるのが、VR技術の活用です。

2017年にシードプランニングが実施した医療分野で使われるVR関連の市場調査では、2021年における国内市場規模は約153億円に、2026年には342億円に到達すると予測されています。その成長はまさに「人生100年時代」への対応に向かって、目覚ましい発展を遂げている最中ともいえるでしょう。

参考:医療分野のVR・AR・MRの市場展望 – シード・プランニング

そこでこの記事では、VRを活用した福祉事例を紹介し将来的な可能性をまとめ、VRを使った新しい社会への参加の形をお伝えします。

事例1 RehaVR

RehaVRは、高齢者向けに開発した360度動画でのVR散歩と会話コンテンツが揃ったVRリハビリキットです。RehaVRはVRヘッドマウントに流れる動画を見ながら足こぎパネルをこぎ、散歩運動を行なうことで下半身の筋力増強や持久力の向上を目指します。

高齢者の方は、体力面の不安から外出頻度が低下し、行動範囲が狭まることで単調な時間を長く過ごしがちになります。そのため、リハビリも退屈に感じられる方が多いそうです。RehaVRはVRを使って没入感のある映像を視聴することができるので、「昔旅行した場所の景色が見られ、夢中になってペダルを漕いだ」「施設にいるとできないことを、仮想体験できて楽しかった」といった利用者の声のとおり、高齢者の方たちが楽しく継続できるようなトレーニングをすることが可能です。

関連記事:高齢者にもVR、サービス開発で日本は先行できるか|Beyond Health|ビヨンドヘルス (nikkeibp.co.jp)

▼公式サイト RehaVR

リハビリVRキット RehaVR | VRで楽しくリハビリテーション

事例2 特別支援学校・学級向けオンラインツアー「パンダに会いに行こう!アドベンチャーワールド」

2022年2月17日、介護施設向け旅行サービスを展開する「旅介(タビスケ)」の運営会社・東京トラベルパートナーズ株式会社は、特別支援学校・学級向けオンラインツアー「パンダに会いに行こう!アドベンチャーワールド」を実施しました。このオンラインツアーには、多くの申し込みがあり反響の高さがうかがえます。

「旅介」がオンラインツアーを開催するきっかけとなったのは、新型コロナウイルス感染拡大による自粛の波。介護施設に入居している方たちは、コロナ禍の影響でご家族との面会が通常のようにできなくなり、寂しさを抱える日々を過ごす中、ストレスが多い環境で入居者の方たちが気分転換できるようにとオンラインツアーの実施を決め、「旅介ちゃんねる」を立ち上げたのがはじまりでした。

「旅介ちゃんねる」でのオンラインツアーは生中継で配信され、クイズやアンケート、機能訓練などのレクリエーションにリアルタイムで参加できるのが特徴です。現在では、400施設以上の介護・医療施設が参加し、のべ1万名以上の方がオンラインツアーを体験されたそうです。

▼公式サイト 旅介ちゃんねる

旅介 (ttptabisuke.jp)

事例3 ケアブル

介護教育のレベルを一定に保つことは、難しい課題です。介護経験のない方が介護スタッフになる場合や外国人スタッフが、サービスを提供する場合があります。しかし介護教育の受講レベルがバラバラでは、介護スタッフ全員に同じ教育を提供することはできません。

新人介護スタッフの早期人材育成を図るべく誕生したサービス「ケアブル」は、VRを使用して効果的に介護学習を受けることができるサービスです。

VRは学習による定着率が高いという研究結果も出ており、株式会社日本HPが過去におこなった講演では、Webでの学習定着率が78%程度に対し、VRでのトレーニングによる学習定着率は90%も記録している事例もあるそうです。このことから、VRを使ったトレーニングは、教育期間の短縮かつ学習効率の向上が期待できます。
(参考:コロナ以後、VRは研修を劇的に変える――HPがオンラインセミナー開催

残念ながらケアブルは2021年3月にサービスが終了しているものの、今後、医療・介護分野に限らずVRを使った教育・研修事例は増えていくでしょう。

参考記事:VR研修のメリット・デメリットとは?業務における導入事例6つ紹介!

事例4 メタジョブ!

2021年10月21日、Moon Creative Lab Inc.は、メタバースやリモート接客などのジョブマッチングサービス「メタジョブ! β版」をリリースしています。

「メタジョブ! β版」には、バーチャル空間での求人情報が掲載されており、バーチャルイベントの運営スタッフが欲しい企業とリモートで仕事をしたいワーカーがジョブマッチングすることで新しい雇用を創出しています。

求人掲載例(2022年2月時点の情報)

  • 高校向けVR課外授業のファシリテーター
  • アバター(CGキャラクター)を動かすオンライン接客
  • バーチャル空間に再現された百貨店での案内スタッフ

>>募集中のお仕事(メタジョブ)

 

「メタジョブ! β版」は、次のような人達におすすめです。

  • まとまった時間を確保できない人
  • 身体的・時間的な制約などで職場までの通勤が難しい人
  • 住んでいる環境上、仕事の選択肢が少ない人

「メタジョブ! β版」を活用すれば、外出が困難な方でも家から働くことが可能です。テクノロジーを使った新しい社会への参加の形に今後も注目していきたいと思います。

▼公式HPでは「メタジョブ図鑑」として事例やインタビューが掲載されています。

メタジョブ図鑑

●メタバースとは?

メタバースは、インターネット上の仮想空間を指すサービスの総称です。

▼公式サイト メタジョブ! β版
メタジョブ! β版

VR技術の発展で変化する、社会参加の形

VRなどのテクノロジーを組み合わせた福祉やリハビリは、従来と異なる効果を発揮します。「施設にいるとできないこと」「仮想世界でしか体験できないこと」をVRが実現し、技術の成長を繰り返すことで、福祉活動をおこなう方や介助が必要な方が、さらに社会へ活躍することができると信じています。

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増田あかり

ナナメ45度の視点で新たな「オモシロイ」を探求&届けるライター。 フリーランスライターときどき文筆家←SE女子←農業系大学院

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