コロナ禍の救世主!?凸版印刷が開発する『VR時空旅行』

written by結木千尋

立入禁止エリアからの眺望も。現地ガイドが案内する『VR時空旅行』が登場。

あたかもその場にいるかのような観光体験を可能にするバーチャル観光コンテンツ『VR時空旅行』が登場しました。

開発したのは、国内印刷業大手の凸版印刷株式会社。新型コロナウイルスの感染拡大で自由に観光旅行ができない時勢を鑑み、VR技術を活用した次世代の旅行体験の提供に乗り出しました。

同サービスでは、高精細なアーカイブデータによって緻密に再現した文化財や世界遺産等の映像を、VRを使い、ユーザーへと届けます。迫力ある体験を提供するため、スクリーンには、視聴者の視野を覆う可搬式のカーブスクリーンが導入されました。同社は2013年にも同様のコンテンツを製作しています。今回発表された『VR時空旅行≪マチュピチュ遺跡≫』は、かつてのサービスをバージョンアップしたもので、現地での案内の経験が豊富な日本人ガイドの解説と組み合わせ、よりリアルな遺跡ツアーコンテンツとして再登場させました。

凸版印刷はこれまで国内外の貴重な文化財や世界遺産のデジタルアーカイブに取り組み、そのデータの公開手法のひとつとして、『トッパンVR』を開発。唐招提寺や熊本城、中国・故宮、カンボジア・バイヨン寺院など、多くの文化財・世界遺産をテーマに、VRコンテンツを製作・公開してきました。今後は、『VR時空旅行』を含めたさまざまなVR技術を用い、現地の魅力を伝えるリアルな旅行体験コンテンツを充実させていくとしています。去る2022年2月23日には、イオンモール幕張新都心で『VR時空旅行≪マチュピチュ遺跡≫』の初公開もおこなっています。

『VR時空旅行≪マチュピチュ編≫』の特徴

①可搬式カーブスクリーンで遺跡内を実際に歩いているかのようにめぐるツアー体験

人の目線に近い動きにより、実際に遺跡内を歩いているかのように遺跡内をめぐります。本上演では、視野を覆う曲面状の可搬式カーブスクリーンを導入。これまではトッパンVRの専用シアターでしか体験できなかった、没入感と臨場感のあるVR鑑賞体験を提供します。

VR時空旅行

マチュピチュ遺跡内を歩いているかのようにめぐる

VR時空旅行

可搬式カーブスクリーン上演イメージ

②現地でも経験ができない夜のマチュピチュ遺跡を体験

コンテンツでは、太陽の光の差し込み方や影の動きなどにより時間を変化させることで、マチュピチュ遺跡が太陽の動きに密接なかかわりがあることを紹介します。また、夜間は閉鎖されて実際の遺跡では見ることができない夜のマチュピチュ遺跡を体験することができます。

VR時空旅行

夜のマチュピチュ遺跡を再現

③現地ツアーガイド経験者による、現地さながらの遺跡案内

現地ツアーガイド歴10年の経験者が実際の経験をもとに、現地さながらに見どころを紹介しながら遺跡内を案内します。また、大画面を見ながらガイドと参加者がコミュニケーションをとりながら一緒にツアーに参加しているような体験が可能です。

凸版印刷の文化財VRへの取り組み

凸版印刷は、1997年から文化財のデジタルアーカイブデータを公開する手法としてVR技術を用いた「トッパンVR」の開発に取り組み、唐招提寺や国宝 洛中洛外図屛風(舟木本)、東寺の立体曼荼羅、マチュピチュなど、国内外の貴重な文化財・世界遺産をテーマとしたVR作品を多数製作しています。また、江戸城天守を8KVRで製作するなどの超高精細表現技術開発や、帝国ホテル旧本館ライト館のVR再現といった近代建築分野への取り組みも展開しています。

VRの利活用・公開の場として、熊本城観光交流施設内の「熊本城ミュージアム わくわく座」でのVRシアター開設や、東京国立博物館へ「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」を導入するなど、国内外20か所以上の文化施設、観光施設へVRシアターを展開しています。

2018年6月に、日本各地の国宝や重要文化財、観光資源の魅力を先端表現技術で世界に発信する地方創生・観光立国の共創拠点「NIPPON GALLERY TABIDO MARUNOUCHI」を東京・丸の内に開設。官公庁、自治体、観光関連団体・企業との共創のよって日本文化の魅力を提案・発信、地方創生・観光立国の実現を進めています。

トッパンVR

公式ウェブサイト

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結木千尋

ユウキチヒロ。フリーライター・インタビュアー。 関心事はサブカルチャー(音楽・映画など)。 AORとミニシアター系の邦画が大好物。 グリーンカレーの海で溺れたい。

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