VRと3Dの「3つの違い」
VRも3Dも、立体的な映像を見る手法としては変わりありません。しかしこの両者には、大きく分けて以下の3つの違いがあります。
1. 「視野の広さ」
2. 「映像の投影方法」
3. 「センサーの有無」
上記の3つが違うことで、映像の見え方や没入感など、得られる体験が大きく変わってきます。ここでは、VRと3Dの違いをそれぞれ詳しくみていきましょう。
1.視野の広さ
VRと3Dを比較したときに、わかりやすく違いが出るのは「視野の広さ」になります。この違いが出る理由としては、そもそもVRと3Dでは映像の映し方が違うからです。
VRには「自分がその映像の中に入っているような没入感を味わえる」という特徴があることを先ほど説明しました。VRを通して見た映像はゴーグルの中で視界全体に映しだされ、頭を動かした方向に映像も動くため、まさに視界そのものといえるでしょう。
これに対して3Dの場合は、立体的に映る映像はあくまでも画面を通して体験するものです。よって、VRのように視界全体に映像が見えることはありません。
以上のことから、VRと3Dでは「視野の広さ」が大きく違うという点を押さえておきましょう。
2.映像を投影するディスプレイの数
VRと3Dでは、映像が投影されるディスプレイの数に違いがあります。
VR映像を見る場合、ヘッドセットという専用のゴーグルが必要ですが、このヘッドセット内には「2枚」のモニターが横並びに設置されています。右に見える映像は右眼用、左に見える映像は左眼用にそれぞれ映し出されます。
そうすることで人間の脳が視差を認識し、映像に立体感を感じられるのです。
3Dの場合、撮影された映像を投影するモニターは1枚。ここでいうモニターは映画のスクリーンやテレビ画面を指します。
実のところ3Dは、右目用と左目用の映像を、目にも止まらぬ速さで交互に映し出しています。その映像を特殊な3Dメガネを通して見ると、左目には左目用の映像、右目には右目用の映像が入ってくるため、立体的に見えるのです。
VRと3Dは「右目用と左目用の映像を2台のカメラで撮影する」という過程は同じですが、「映像を投影するディスプレイの数が違う」という点も知っておくといいでしょう。
3.センサーの有無
VRヘッドセットにあって、3Dメガネにないもの。それは「センサー」です。VRを体験したことがある人はわかると思いますが、VRにはセンサーに応じて映像が変わる機能がついています。
例えば、頭を動かした方向に映像がついてきたり、実際に歩くと見えている景色が変わったりするなど。これらはトラッキング機能といって、ヘッドセットに内蔵されているセンサーによって感知されているのです。
最近でいえば、建築会社などが工事中の事故防止やトレーニングの一貫として、実際の現場を想定した映像を体験するといった事例があります。3Dメガネにはこのようなセンサーが装備されていないので、あくまでも見ている映像が主体となり、人によっては物足りなさを感じる場合もあるでしょう。
実際のVRと3D映像
百聞は一見にしかずといいますが、言葉で理解するよりも1度それぞれの映像を実際に見てもらったほうが、より特徴や違いがわかるでしょう。ここでは、実際のVR映像と3D映像を見ていきます。
VRの映像:VRジェットコースター
3Dの映像:3D motion TOKYO – Anaglyph HD Version (立体映像-アナグリフ版)
実際に見てみると、両者の違いがより実感できたのではないでしょうか。VRの映像をヘッドセットなしで見た人は、同じ画面が左右に2つ表示されていることに気づいたと思います。先ほど説明したように、VRは映像を投影するモニターが2枚あり、それぞれ左目と右目に合わせて撮影されています。
同じく3D映像を専用のメガネを通さず見た場合、1つのモニターに赤と青の同じ映像が被って見えたのではないでしょうか。1つのディスプレイに、右目用と左目用の2つの映像が高速で交互に表示されているという3Dの特徴がよくわかる映像です。
この2つの映像は、専用のヘッドセットを通して見るとより違いが明確になるため、実際の見え方が気になる人はぜひ試してみてはいかがでしょうか
VR市場は今後さらに拡大する
VR市場は今後、ますます加熱していくと予測されています。大きな要因としては、新たなコミュニケーションツールとして、個人だけでなく企業の間でも利用されると見込まれているためです。
テクノロジー専門調査会社であるIDCのレポートによると、2020年から2024年にかけて、AR/VRのグローバル市場は年率54.0%で成長。市場規模は2024年に728億ドルまで拡大すると予測されています。
この動きは海外だけに止まらず、日本でもVRを導入する企業が増えてきている状況です。例えば、不動産会社が賃貸物件の内覧にVRを使うケースや、ANAでは昨今のコロナ禍に対応したVR旅行など、多くの企業でVRを活用したサービスが展開されています。
日本や海外の動きを見ても、今後のVR市場がさらに拡大することは、容易に想像ができるのではないでしょうか。
VRや3Dが当たり前の時代がくる
この記事ではVRと3Dの違いについて解説してきました。「視野の広さ」「映像の投影方法」「センサーの有無」が両者の大きな違いです。3DとVRを比較すると、VRの方がより没入感のある体験が可能になります。
VRはこれからさらに普及し、生活の中で当たり前となる日もそう遠くはないかもしれません。今後VRを活用したビジネス展開を考えている方は、市場拡大の波に乗り遅れないように、常にアンテナを張っておくことをおすすめします。
この記事を読んで興味を持った方や、「今後のビジネスにVRを取り入れたい」とお考えの企業様は、ぜひMuralまでお問い合わせください。