ユーザーを没入感のある世界へと誘うなど、宣伝効果の高いAR(拡張現実)。自社で制作できるスタッフがいない場合には、開発会社に外注する必要があるため、制作費用が気になるところでしょう。そこで今回は、ARの制作にかかる費用について、算出方法やケースごとの費用について解説します。
ARコンテンツの制作でよくある3つのケース
AR制作といっても、ARアプリからAR動画に至るまで、さまざまなケースが考えられます。
ARアプリ
ARアプリとは、ARを体験するためのアプリケーションを指します。スマートフォンやタブレットにARアプリをインストールし、マーカーなどを読み取ることで、実在する風景にデジタルコンテンツを重ね合わせることが可能です。
https://www.youtube.com/watch?v=fVAdWhhO4Jw
ただし、最近はARアプリよりも開発の手間がかからないWebARが主流になりつつあります。
関連記事:ビジネスで役立つAR、どうやってARシステムを制作する?
ARシステム(WebARなど)
WebARのように、ブラウザさえあればARコンテンツを体験できるのが、ARシステムです。デバイスでマーカーを読み取ると、画像認識の役割を担うARエンジンがマーカーを認識します。その後、クラウドサーバーにコンテンツを要求し、デバイスへとコンテンツが送信されると、デバイスにARコンテンツが表示されます。
ARシステムを開発する際、AR制作サービスを利用する場合と、Apple ARKitやGoogleが提供するAR Coreといったライブラリを利用して一からシステムを構築する場合の2種類があります。
AR動画
AR技術を使って視聴できるコンテンツが、AR動画です。商品パッケージやチラシ、書籍に記されたマーカーなどにデバイスをかざすと、関連するAR動画を視聴することが可能です。
AR制作工程の流れ
ARアプリにせよ、AR動画にせよ、ARシステムを制作する工程に大きな違いはありません。そこで、ARシステムを制作する工程を確認していきましょう。
ARに限らず、システム開発の工程は、
- ヒアリング・企画
- 要件定義
- 動作テスト
- 運用保守・効果検証
の4つに分けられます。順番に確認していきましょう。
ヒアリング・企画
まず、どのようなARシステムを制作したいのか、企業からヒアリングを行い、企画書を作成します。要件定義を始める前に、経営課題やARシステムを制作する目的など、細部まで詰めておくことが必要です。
ヒアリング・企画段階における合意が不十分な状態で要件定義を始めると、途中で要求事項の変更や追加が発生する可能性が高くなるでしょう。その結果、プロジェクトが計画通りに進まなくなり、開発の遅延や余分なコストが発生します。
企画を決定する前に、どのようなARシステムが実現可能なのか、開発会社にサンプルを提示してもらうのがおすすめです。
要件定義
システムを開発する際に、実装すべき機能や満たすべき性能などを明確化する作業が、要件定義です。必要な業務内容や人員、開発期間やシステムの運用方法なども、要件定義で決めていきます。
ARシステムの場合に、どのライブラリを使って開発するかも要件定義に含まれます。要件定義は非常に重要な工程であり、作業者が開発業務に集中できるために不可欠です。
動作テスト
システム開発で欠かせないのが、動作テストです。単体テスト、結合テスト、総合テストの3種類のテスト工程があります。
単体テストとは、関数や手続きなどモジュールを結合する前に、各モジュールが仕様書通りに正しく機能しているかを検証するテストです。
モジュールを結合し、実際に機能がうまく連携するかを検証するのが、結合テストです。
最終的に、構築したシステムが予定通りの機能を満たしているか、機能や性能が仕様書通りに構築できているかを検証するテストが、動作テスト(システムテスト)です。ユーザビリティや信頼性といった非機能要件のテストも動作テストに含まれます。
発注者と開発会社とで動作テストを確認し、細部の調整を行うことが一般的です。
運用保守・効果検証
システムのテストをクリアすると、ARシステムを実際に運用します。開発会社は、システムに問題が発生したときに対応する「保守」と、システムが止まらないようにサポートする「運用」を行います。不具合が発生すると、開発会社はシステムの修正をサポートしなくてはいけません。
また、新しい機能の追加や、システムにかけたコストに対する効果検証も行います。