ユーザー参加を可能にするWeb2.0とは?特徴や具体例を解説

written by小村 海

Web2.0は、1990年代前期から2000年代初期にかけて米国市場を中心に起こったインターネット・バブルの余波を受け、立て続けに起こったデジタル変革を指します。

静的なWebと称され、自己完結したWeb1.0と比べて、ユーザーがコンテンツを生成できる上、ユーザーの使用性が高いのが特徴です。

連載第2回では、ユーザー参加を可能にしたWeb2.0の定義や特徴、具体例、Web3.0への変遷した経緯について解説します。

>>第1回はこちら「静的なWebサイトと呼ばれるWeb1.0とは?特色や具体例、Web2.0への移行の経緯について解説」
>>第3回はこちら「分散型インターネットと呼ばれるWeb3.0とは?長所や具体例について解説」

Web2.0とは何か?

Web2.0は参加型ソーシャルWebと呼ばれ、ユーザー間の相互運用を基調とするワールドワイドウェブの世界を指します。

2004年10月に、O’Reilly Media社とMedia International社が共同開催した、インターネット経済の重要課題について話し合うWeb2.0カンファレンスが開催されて以降、概念として浸透し、市場にサービスが相次いで投入されるようになりました。

特徴について後述しますが、Web2.0の本質は、Webサービスが利用者の参加によって価値が与えられ、全体の価値が高まると前提されている点です。Web2.0を提唱したティム・オライリーは、こうした特徴について、参加のアーキテクチャと呼んでいます。

これらにより、Web2.0は民主的なネットの仕組みと言えるかもしれません。

 Web2.0の特徴

前述の通り、Web2.0はユーザー間、あるいはユーザーとWebサービスの提供者間で、相互運用性が担保されているのが特徴です。

このほかにも、Web2.0はどういった特徴があるのでしょうか。①ユーザー参加が可能、②マルチなプラットフォームで利用できる、③サービスの質改善に終わりがない、の3つに絞って解説します。

ユーザー参加が可能

Web2.0は、ユーザーが次々とWeb上に情報を発信するなど、ユーザー参加が可能です。

たとえば、自らがコンテンツを生成、発信できるSNSはその代表例と言えるでしょう。

また、ウィキペディアなどの集合知を活用するタイプのプラットフォームも、ユーザー参加を可能にしています。

マルチなプラットフォームで利用できる

Web2.0は、パソコンだけでなく、携帯機やゲーム機など、マルチなプラットフォームで利用可能です。

Web2.0はただ、プラットフォームをマルチに利用できるだけではありません。アップルコンピュータの動画・音楽配信ソフトであるiTunesとiPodの組み合わせのように、他のデバイスで入力した音楽データを他のデバイスにシームレスに移行できます。

2台以上の機械を経由して動く可能性のあるソフトウェアである点で、Web2.0は、単一デバイスの枠を越えたソフトウェアと言えるかもしれません。

サービスの質改善に終わりがない

Web2.0は、機能導入のたびにインストールが必要なパッケージソフトではないため、連続的な改良が可能なサービスの提供ができます。

これは、Webで提供されるサービスの場合、ソフトウェアのプログラムがパソコンなどのローカル側でインストールされず、サーバー側で提供されるためです。

機能改善に終わりがない点で、Web2.0として開発されるWebサービスは、永遠のベータ版と呼ばれています。

Web2.0の具体例

Web2.0は、開発されたサービスを時系列であげると、ソーシャルネットワーキング(SNS)やブログなどがあります。

ここからは、そうしたサービスが、どういった点で、Web2.0の体を成しているかを含めて、解説します。

ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)

SNSは、インターネット上での人と人のつながりを生むサービスのことです。

1997年に米国でサービスが開始された世界初のSNSである「SixDegrees.com」が原型とされ、2004年に提供が始まったFacebookの登場を機に、急速に広まりました。

ご存知の通り、SNSは、ユーザーがコンテンツの制作にユーザーが積極参加することが可能です。この点で、SNSは、Web2.0の本質である参加のアーキテクチャの要件を満たしていると言えるでしょう。

ブログ

ブログは、個人の日記など、自分の考えや物事に対する論評を、簡単な方法で作成し、公開できるウェブサイトの総称です。

ユーザー参加型のWebサービスという点で、SNSと同じです。しかし、XML形式で記述され、ブログの更新情報の日付やタイトル、内容の要約などを配信するRSSを搭載している点が特筆しています。

RSSはWeb2.0を代表する技術の一つとされ、ブログの読者たちが最新情報を獲得する手立てとなっています。

SEO(検索エンジン最適化)

SEO(検索エンジン最適化)は、Googleなど、特定の検索エンジンに対して検索結果で上位になるように、Webページを書き換える技術です。

一見、Web2.0と関係ないように見えますが、XML形式で記述したRSSと同じように、Web2.0を構成する主要な技術の一つとなっています。

とりわけ効力を発揮しやすいのが、RSSと連携したブログです。RSSと連携したブログは、検索にかかってほしいキーワードを〈meta〉タグや〈h1〉タグ、〈title〉タグなどで指定、強調するといったSEO対策が容易になると言われています。

また、Web2.0の主要技術を用いたSEO対策では、Webサイト内のURLや最終更新日、更新情報といった各ページ情報を記載したXMLサイトマップと、RSSをGoogle Search Consoleに送信することも有効です。

こうした内部施策をおこなうことで、RSSがサイト更新のたびに最新情報を取得できるほか、Googleによるクロールを最適化でき、サイトの検索順位がつきやすくなります。

Web2.0の課題がWeb3.0の誕生へとつながる

Web2.0はユーザーのネット体験をより魅力的に、楽しくしました。

一方で、近年は、SNSを運用するテック企業に個人情報が集中することでプライバシーの侵害やハッキングリスクの問題が起きるなど、課題が表面化しています。

そうした課題の解消に向け、考案されたのが、パブリック型のブロックチェーン技術を基盤としたWeb3.0です。

このWeb3.0は、日本政府が、デジタル戦略など国家の方針に関する「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」で明記するなど、急速に期待が高まっています。

第3回では、分散型インターネットと呼ばれるWeb3.0の意味や長所、具体例について解説していきます。

>>第1回はこちら「静的なWebサイトと呼ばれるWeb1.0とは?特色や具体例、Web2.0への移行の経緯について解説」
>>第3回はこちら「分散型インターネットと呼ばれるWeb3.0とは?長所や具体例について解説」

written by

小村 海

おむら・わたる。「難しいことを簡単に」をキャッチコピーに活動するフリーライター。元地方紙、雑誌記者。クライアントや物事の良い側面を翻訳し伝えることを活動指針とし、主にIT記事を作成している。趣味は野球で、競技歴は12年を超える。一方で、本好きでもあり、新刊には目が無い。

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